- チェーンドライブは給油が必要で、オイルでリアホイールが汚れる
- ハーレーはメンテナンスフリーのベルトドライブがあるのに、チェーンに変えるメリットなんてある?
こういったチェーンの誤解、疑問にお答えします。
- グリスが封入されているチェーンがある
- メンテナンスフリーのチェーンがある
- ハイトルクのハーレーには、チェーンドライブがベスト
現在、バイクで採用されている駆動方式は、チェーンドライブ・ベルトドライブ・シャフトドライブがあります。
フリクションがもっとも少ないのは、オイルに常時浸かっているシャフトドライブです。
ファイナル比の変更・高価・重量増などのため、BMWや一部のバイクのみ採用されています。
逆にフリクションが、もっとも大きいのはベルトドライブです。
ベルトはフリクションが大きく、パワーの伝達力を高くすることが難しく、輪になっているベルトを使用するため、ファイナル比、スイングアームも容易には変更できません。
こまとび防止で、スイングアームの可動範囲を広げられず、リアサスを大幅に延長する事ができません。
ハーレーがベルトドライブを採用した理由は下記があげられます。
- 高出力・最高速を重視していない
- ツーリングに不便なメンテナンスを減らしたい
- ファイナル比の変更が少ない
- 悪路を走行しない
しかし、高年式のハーレーは、
- ハイトルクのハイスピードツアラー
- メンテナンスのいらないシールチェーンがある
- クラブスタイルなどではファイナル比の変更がある
ベルトドライブのメリットは極めて少ないと言えます。
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シールチェーンの構造とメンテナンス
1970年台までは大型バイクではノンシールチェーンでした。
当時のチェーンは、1,000キロも給油をしないで走行すると、振動やチェーンの摩耗で起こる、「伸び」と言われる状態になってしまい、メンテナンス・調整・交換が必要でした。
現在ではシールチェーンが普及し、メンテナンス・平均速度などで変わりますが、グレードによっては20,000km以上の耐久性はゆうにあります。
シールチェーンの構造
画像元:DIDチェーン
シールチェーンは下図のように、摩擦がおきる箇所にすでにグリスが封入されて、シールのOリングで保持されているので、定期的な給油が必要ありません。
このシールチェーンの誕生で給油が必要なくなり、メンテナンスはグリスが流れ出さないために使用されているシールの保護のみになりました。
シールは上の図でいうと赤いリングです。
このシールの保護に使用するのがチェーンルブです。
シールチェーンのメンテナンス
画像元:DIDチェーン
シールチェーンのメンテナンスは、チェーンを潤滑させる為ではなく、グリスを封入しているシールの保護が目的です。
シールが切れないようにする為のメンテナンスで、潤滑が目的ではありません。
いわゆるチェーンが「伸びる」という症状は、シールが切れグリスが漏れ出し、チェーンが摩耗して隙間が多くなることを言います。
物理的にチェーンの長さが伸びているわけではありません。
シールが切れる原因は下記があげられます。
- サビ
- 異物
チェーン交換が必要なケースは、シールが切れてグリスが漏れることが原因で、チェーンが摩耗することです。
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給油を必要としないメンテナンスフリーのチェーン
シールが切れなければ、グリスは漏れません。
シールチェーンのメンテナンスはサビ止めと、粘着性のあるルブに付着した異物の除去です。
サビと異物がなくなれば、シールが切れる可能性を下げられます。
- サビ防止:メッキ加工すればサビは発生しない
- 異物付着防止:粘着性のあるルブを使用しない
サビを発生させなければチェーンルブは必要なくなります。
粘着性のあるルブがなくなれば、異物がチェーンに付着することもなくなります。
上記2点をクリアすれば、チェーンドライブはベルトドライブ同様の、ほぼメンテナンスフリーになり、ホイールが汚れることもありません。
クリアしたシールチェーンがあります。
一般的にゴールドチェーンと呼ばれるフラッグシップのチェーンです。
通常のシールチェーンはメッキは1度ですが、2度メッキをかけて厚くして、剥がれにくくさせサビを防ぎます。
ゴールドチェーンの交換のタイミングは、メッキがはがれサビが発生した、または紫外線によるシールの劣化です。
スプロケットとチェーンの間には給油は必要か?
スプロケットとチェーンの間にも、給油は必要ありません。
もちろん金属同士なので、潤滑されていた方が緩衝の面でも良いです。
しかし、給油したとしても数十キロも走れば、遠心力と荷重で接地面のオイルは完全にドライになります。
チェーンとスプロケットが接触して、スプロケットが回っているときは、チェーンのローラーは、一瞬動く程度で回転していません。
回転していないということは、摩擦がないということです。
摩擦がない箇所に潤滑させる必要はありません。
- ローラーがほぼ回転しないので、摩擦が生じていない
- 給油したとしても、遠心力と荷重で数十キロも走れば、接地面は完全にドライになる
スプロケット、チェーンのローラーに給油は必要ありません。
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ハーレーをチェーンドライブ化するメリット
ハーレーのラインナップに、117ci(1,923cc)を代表するハイトルクモデルが多くあります。
カスタムでも、100馬力を超えるようなエンジンチューニングが、当たり前になってきています。
この高出力のハーレーの魅力はベルトドライブではなく、チェーンドライブのほうが特性として合っています。
ベルトドライブに比べ、チェーンドライブのメリットは下記があげられます。
- 高出力エンジンに耐えられる
- 走り・エンジン特性に合わせたファイナル比が選択できる
- フリクションがすくなく、後軸の出力を5%以上も上げられる
- フラッグシップのシールチェーンは、ベルトドライブ同様のメンテナンス
- スイングアームの可動範囲を広くでき、リアサス延長ができる
チェーンとスプロケットが、噛み合いがながら回るため、ベルトように大きな力を加わったときにこまとびがなく、確実な伝達力があります。
ハイトルク化したハーレーのファイナル比をロングにすれば、低い回転数のままで走行が可能になります。
チェーンはフリクションも低いので、最低でも後軸で5%以上の出力アップもします。
加速方向にふることもチェーンドライブでは可能です。
ファイナル比をショートにすれば、エクストリーム系に見られるような派手で豪快なアクションも可能です。
ツインサスモデルであれば、ベルトよりも噛み合いがあるチェーンであれば、スイングアームの可動範囲が広くとれ、リアサスの延長もできます。
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まとめ
現在のチェーンはフラッグシップのシールチェーンであれば、ベルトドライブ同様のメンテナンスが可能です。
ファイナル比を選択できることにより、ハイトルクのハーレーの良さを自分の好みの方向に持っていくこと出来ます。
低い回転数でドコッドコッとさせ、ワインディングをゆうゆうと登ることも出来ますし、クラブスタイル・HOGGなどのエクストリーム的な走りにも出来ます。
メンテナンスに気を使わずに、ファイナル比を自由に選択できるチェーンのメリットは大きいです。
チェーンドライブ化の費用、車検、ファイナル比の算出方法を知りたい場合は、こちらの、【チェーンドライブ化】パワーと味わいを引き上げる! 車検・費用も解説を読んでみてください。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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