ハーレーは2007年からキャブレターから、インジェクション方式に全モデル変わりました。
キャブレターとインジェクションの役割は、基本的に同じです。
どちらともガソリンをエンジンに供給するための装置です。
- キャブレターと、インジェクションの違いは?
- どうして、キャブレターからインジェクションに変わったの?
- キャブレターと、インジェクションのどっちが良い?
こういった疑問に詳細にお答えしていきます。
ハーレーのキャブレターとインジェクションの違い
キャブレターは、エンジンのピストンが下がることで、発生する空気の流れによって、ガソリンが自然にエンジン内に入ります。
エンジンの吸い込む力でガソリンを運ぶので、低回転から素直なレスポンスで、とても扱いやすい特徴をもっています。
しかし、キャブレターは、受け身な装置なため、自発的な燃料調整ができません。
自然の力でガソリンが運ばれてしまうので、フィーリングが良くても、きめ細かいガソリン量を、低回転から高回転までコントロールする事が困難でした。
吸気をコントロール出来なければ、排出する排気ガスもコントロールすることが出来ません。
そこで、性能の向上と排気ガスをコントロールするために登場したのが、コンピューターで燃料調整ができるインジェクションという燃料噴射装置です。
インジェクションの優れている点は、コンピューターで事前にガソリン量をコントロール出来ることです。
排出される排気ガスもコントロールできます。
低回転から高回転まで繊細なセッティングが可能で、レーサーの限界セッティングもコンピューターでセッティングが可能です。
このことにより、自然の力にまかせるしかなかったキャブレターよりも、正確にガソリン量をコントロールすることでき、性能を上げながらも、厳しい排ガス規制をクリアすることが可能になりました。
キャブレターとの違いは下記があげられます。
- コンピューターで事前にガソリン量をコントロールできる
- 排出される排気ガスもコントロールできる
インジェクション化は、ハーレーにとってメリットだった
車は、1970年代にオイルショックや大気汚染問題で、排気ガスをコントロールできるインジェクションに変わっていきました。
SSなどの究極の性能を求めたバイクは、2000年前後に採用され、各メーカーの熾烈なソフトウェアの競争も始まりました。
車や最先端のバイクが先にインジェクションを採用してくれたおかげで、排気ガスのコントロールが難しい、空冷大排気量エンジンのハーレーが生き残る基礎が作られていきました。
当時は空冷大排気量エンジンで、排ガス規制をクリアすることは不可能と言われていました。
排ガス規制に加えて騒音規制もあり、車では空冷エンジンはクリアできずに姿を消しました。
ハーレーのアイデンティティは空冷エンジンです。
必ず空冷エンジンのままで、クリアすることを求められました。
ハーレーは厳しい排ガス規制の前から、インジェクション車両を市場に投入して、10年以上のフィードバックと研究開発を続け、2007年に全機種「大排気量の空冷エンジン」のままでクリアすることに成功しました。
技術的に非常に困難なハードルを、ハーレーダビットソン社は見事に超えました。
キャブとインジェクションのどっちがよいのか?
インジェクションはコンピューター制御のため、多くのセンサーから情報を集め、最適な噴射する量・時間を決め、インジェクターでガソリンをエンジンに噴射します。
キャブレターでは不可能だったことが、インジェクションでは可能になりました。
- 気温・気圧などの変動にも、瞬時にガソリン量を調整できる
- 排気ガスをコントロールできる
- 冬でもスムーズに始動でき、暖機せずに走行が可能(暖機を行うのがベスト)
- 全域での繊細なセッティングが可能
- 味わいも含めた、乗り手のさまざまな要望に答えやすい
- 消耗する機械部品がほぼない
使用するコンピューターによっては、燃費モード・高出力モードなどの切り替えも可能です。
しかし、インジェクションはメリットばかりではありませんでした。
「ハーレーの魅力の味わいが薄まった」と言われるようになりました。
しかし、現在、フルコンにおいては、キャブレターとの味わいを同等以上に成功しました。
暖機を終えて走行すれば、インジェクションとキャブの違いに気づくことは、まず不可能です。
インジェクションのテクノロジーのレベルは想像以上に高いです。
インジェクションで、キャブレターの味わいを手に入れるために、日本の多くのショップと提携し、北海道から沖縄までのデータを集め、トライ&エラーを繰り返しエンジンマップを制作しました。
その結果、日本全国どこでも快適に、調子を崩すことなく高い性能で走れ、キャブレターのような味わいも楽しめるようになりました。
フルコンについては、こちらの【インジェクション 】フルコンはハーレーの可能性を最大限に引き出せるを読んでみてください。
まとめ
ここまで、ハーレーのキャブとインジェクションの違いや、メリットなどについて解説いたしました。
以下に、重要なポイントをまとめています。
- インジェクションが開発されていなければ、排ガス規制をクリアできずにハーレーダビットソンは、過去のメーカーになっていた
- 日本中のデータを集め、どこでも快適に調子を崩さずに、高い性能を維持しながら走れるように、インジェクションは進化をつづけている
- 多くのデータを分析した結果「キャブレターの味わい」も手にすることに成功した
現在のガソリンは、インジェクション用に開発されている為、そのガソリンをキャブレターで使用すると、今までになかったトラブルも増えてきています。
しかし、現在もキャブレターの研究は行われており、インジェクションとキャブレターの低回転の良さを融合した装置の開発が進んでいます。
さらに排気ガスを浄化する触媒(キャタライザー)の技術が向上したこともあり、同じ燃料噴射装置で、旧車も新型も楽しめるようなことが可能になります。
新しいテクノロジーはアナログの良さも大切にできます。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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