- ハーレーはノーマルでも、インジェクションチューニングしないと、まともに走らないのですか?
- なぜ、最初からベストなセッティングがされていないのですか?
こういった疑問にお答えします。
- ハーレーがインジェクションを採用したわけ
- ノーマルのエンジンマップは、厳しい排出ガス規制が関係している
- インジェクション技術は、環境対策とエンジンの楽しさを両立できる
バイクでインジェクションチューニングが、盛んに行われているのはハーレーだけです。
国産バイクなどはマフラー変えてもほとんどがチューニングせずにそのまま乗っていますし、そもそもシャシダイを持っているバイク屋さんはほぼありません。
国産バイクからハーレーに乗り換えると、なぜインジェクションチューニングを推奨されるのか不思議に感じると思います。
ハーレーにはインジェクションチューニングを推奨する特別な事情があります。
インジェクションの歴史
インジェクションが一般車両に採用されたのは1970年代
1970年代に車はキャブから時代の変化に対応するために、インジェクターを使用したコンピューター制御に移っていきました。
インジェクションはコンピューターでガソリンの噴出量をコントロール出来るため、細かいガソリン供給が可能です。
キャブからインジェクションへ変わった理由は、以下の2点があげられます。
- オイルショックで、ガソリン価格が高騰した
- 排気ガスに含まれる有害物質が、大気汚染の問題になった
こうした理由で少ないガソリン量で有害物質の排出が少ないエンジンが求められました。
排出される有害物質は、主に一酸化炭素・炭化水素・窒素化合物・粒子状物質・二酸化炭素です。
CO2の二酸化炭素とPMの粒子状物質は良くニュースで取り上げられています。
求められる要求は現在でも非常に難しく簡単に言うと、
少ない燃料で長距離を走り、人や荷物を多く乗せても、快適に力強く走れて耐久性もある
不完全燃焼しても、排出されるガスはクリーンである
このような要件はキャブ車では応えることが出来ませんでした。
そこでコンピューターでガソリンの噴出量を調整できるインジェクションが採用されました。
このインジェクションの登場で、軽い車や重い車でもスロットル開度・回転数・温度・気圧・速度などの影響を受けずに快適で安定した走行が可能になり、クリーンな排気ガスも排出できるようになりました。
今ではインジェクションで始まったコンピューター制御が、ドアなどの機械にまで一つのコンピューターで制御されるように進化しました。
2022年以降には5GとIoTの技術発展で、自動運転技術も一気に加速しています。
2030年頃には世界の10%程度は電気自動車になると言われています。
エンジンのみの自動車はなくなる方向ですが、エンジンを搭載した車両は今後も開発され販売もされます。
内燃機関がなくなることはありません。
ハーレーのインジェクションセッティング
ノーマルのセッティングは厳しい排ガス規制の影響
インジェクションの歴史で記載したとおり、インジェクションの採用によりコンピューター制御で多くのことが可能になりました。
これはハーレーダビッドソン社にとって非常に良かったことだと思っています。
空冷エンジン好きの私たちにも良かった事です。
インジェクションが自動車に採用されていなかったら、ハーレーの空冷大排気量エンジンは過去のエンジンになっていた。
ハーレーダビッドソン社は厳しい排ガス規制をクリアする為に、2007年に全ての車両がインジェクションを採用することにしました。
しかし、空冷で1気筒最大900cc以上のエンジンから排出されるガスを、コントロールすることは技術的に極めて困難です。
空冷エンジンはエンジンを冷やす方法のメインは走行風です。
高回転時にはガソリンを濃くして熱を制御しますが、その制御を高いレベルで可能なのは水冷エンジンです。
この巨大なエンジンを効率的に冷やすには走行風しかありません。
ガソリン量で熱を制御できない。
水冷エンジンのように冷却水でも熱を制御できない。
水冷エンジンのように温度を一定に保てれば、計算どおりのガソリン供給が可能ですし、正確なノッキング制御もできます。
空冷エンジンでは温度が一定に出来ないため、排出される排気ガスも一定ではなく、ノッキングも正確に制御できません。
設計通りの出力を出したら排ガス規制はクリアはできません。
しかし、ハーレーの最大の魅力はエンジンです。絶対にクリアしなくてはなりません。
見た目はそれぞれでも、エンジンがハーレーであればハーレーと言われるほどです。
空冷大排気量エンジンV型2気筒エンジンはハーレーダビッドソン社の象徴です。
カルチャーでもあります。
この空冷エンジンをなくすことはできません。
どんな批判があってもハーレーダビッドソン社は、この空冷エンジンを残すことを決めています。
その為に超希薄燃焼で排ガス規制をクリアし、オーバーヒート気味になったら1気筒にするなど、苦肉の策で対応してリリースしています。
エンジン細部に苦渋の決断をした箇所が多数あります。
空冷大排気量エンジンを残すために、ノーマルのインジェクションセッティングは、厳しい排ガス規制をクリアする為に制作されたエンジンマップです。
この排ガス規制をクリアするためのエンジンマップでは、エネルギーが足りないため、空冷大排気量エンジンを楽しく快適に走ることは困難です。
ハーレーの魅力はエンジンです。
ましてや、チューニングせずにエアクリーナーやマフラーを交換してしまうと、さらに希薄燃焼になり、エンジンが異常加熱してエンジンにもライダーにも過酷な状態になってしまいます。
しかし、このようなセッティングでも、この時代に新型の空冷エンジンをリリースしてくれることは本当に感謝です。
もちろん、ノーマルのインジェクションセッティングでも、他の空冷エンジン同様、熱に気をつけて走行すれば壊れるような事はありません。
プロチューナーによるインジェクションチューニング
規制をクリアするための超希薄燃焼では、エンジンが以下の状態になっています
- 希薄燃焼でエンジンが異常加熱をおこし、快適性を失われている
- 熱でノッキングが発生しやすい
- 混合気不足(空気とガソリン)から、トルクが不足している
- トルク不足による、鼓動感が感じにくい
この状態を正常にして、空冷大排気量エンジンの良さを引き出すのが、インジェクションチューニングです。
インジェクションチューニングするとエンジンパフォーマンスがアップし、登り坂を低い回転数でゆうゆうと気持ちよく走れます。
エンジンを回す必要がないので燃費も良く、ハーレーらしくドコドコ感も感じられる。
エンジンの異常加熱も少なくなり、ライダーにとっても快適な状態になります。
インジェクションチューニングについて、詳細を知りたい場合は、こちらの、【最新】インジェクションチューニングで馬力も味わいも開放させる!を読んでみてください。
まとめ
規制をクリアする為の状態では、エンジンにとっても、ライダーにとっても厳しい状態です。
その状態を正常な状態に戻し、本来の空冷大排気量エンジンの良さを引き出す。
これがインジェクションチューニングをすすめる理由です。
「インジェクションチューニングしたら環境に悪いのではないか?」と思うかもしれませんが、プロチューナーがフルコンでチューニングすれば車検に合格します。(フラッシュチューニングでもアイドリング付近を大幅にチューニングしてなければ受かります)
- プロチューナーがインジェクションチューニングをすれば、環境に悪いことはない
- しっかり燃焼させれば、有害物質もノッキングも少なくなり、エンジンにも人間にも優しい
- インジェクションは環境対策だけではなく、エンジンを面白くするための技術でもある
希薄燃焼でエンジンは異常加熱しノッキングが発生し耐久性も出力も落ち、ライダーにとってもエンジンにとっても非常に厳しい状況が環境対策なのでしょうか?
環境対策を行いながら、エンジンの面白さを引き出す。
そのために、新しいテクノロジーは否定せず取り入れ、どう活かすかを常に考える。
そうでなければ、いまだに「ハーレーはオイル漏れが当たり前だ」なんていう時代遅れの人間になってしまいます。
ハーレーの魅力を引き出せる、価値ある情報を発信できるようにします。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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