- おすすめのインジェクションチューニングはどれ?
- マフラー交換のたびに、チューニング費用がかかるの?
- チューニングしたら車検はどうなるの?
こういったハーレーのインジェクションチューニングの疑問に、すべて詳細にお答えします。
ノーマルでも、インジェクションチューニングをほどこすと、驚くほど馬力とトルクが向上しとても味わい深くなり、空燃比のズレで発生する恐ろしいノッキングも抑えられます。
なぜ、インジェクションチューニングすると驚くほど変わるか?
ノーマルのデータは、排ガス規制をクリアするために制作された極めてうすいガソリンの希薄燃焼のデータのためです。
この希薄燃焼のデータを、適正なデータに変えることで、馬力、トルクも向上し味わいも深くなり、ノッキングの発生も抑えられます。
つまり、バイク本来の性能向上と体質改善が目的です。
正しいチューニングがなされていれば、故障、トラブル回避はもちろん、乗り手が気付かなかったストレスや疲労なども改善してくれます。
体感としては、1グレードアップした乗り物に乗り換えたくらいの体感は得られます。
また、使用するコンピューター(純正または社外)で、カスタムの範囲や車検の容易さも変わるので、あなたのハーレーをどのように乗るのかを見極めてから判断するのが良いと思います。
それではインジェクションチューニングについて詳細に説明をします。
おすすめのインジェクションチューニングはフルコン
インジェクションチューニングには、サブコン・フラッシュチューニング(純正コンピュータ書き換え)・フルコンがありますが、長く乗る場合はフルコンで、そうでなければフラッシュチューニングが良いと思います
フルコンをおすすめする理由を、費用、性能、サポートの面で説明します。
インジェクションチューニング費用は長期で見ればフルコンが安い
カスタムショップにより価格差はありますが、費用は一般的に5万円前後ほどフルコンの方が高くなります。
※サブコンは簡易的なので省きます
- フルコンの費用:20万円前後
- フラッシュチューニングの費用:12万円~17万円
しかし、長い目でみるとフラッシュチューニングの方が、費用が高くなるケースがあります。
フラッシュチューニングはマフラーを交換するごとに、シャシダイを使用したチューニングが必要になります。
費用は数万円かかり、車検時にノーマルデータに戻す場合も費用がかかるケースがあります。
フルコンの場合はワイドバンドO2センサーを使用しているため、レース用マフラーからノーマルマフラーを交換しても、瞬時に空燃比をベストな状態に調整されるため、費用がかかることがありません。
車検時にもノーマルマフラーに戻すだけで車検に合格します。
フラッシュチューニングはアイドリングのチューニング次第ではそのままで合格します。
音量可変マフラーも走行中に変更しても、瞬時に最適な空燃比になります。
- 乗っている期間が長くなるほど、カスタムやチューニング、マフラー、エアクリーナー交換、カム、車検などが多くなります。その場合はフルコンのほうが安くなります。
- 長年乗っても車検時の時ぐらいしかマフラー交換しない場合は、フラッシュチューニングの方が安くなります。
インジェクションチューニング費用については、詳細な記事がありますので、こちらの、【最新2018】おすすめのインジェクションチューニングを比較する!も読んでみてください。
フルコンの性能は極めて高い
フラッシュチューニングとフルコンの性能差は、エアクリーナー、マフラー、ハイカム程度の交換であれば、性能差はまったくありません。
性能差がでるとしたら、チューニングするチューナーの腕しだいです。
しかし、下記のようなカスタムを複合的にチューニングする場合は、フルコンの方が高い制御が可能ため性能は向上ます。
- モディファイドカム(他のパーツもチューニングが必要なカム)
- ビッグボアスロットルボディ
- ボアアップ・ストローカー・低フリクションピストン
- ヘッドチューン・圧縮比変更・インテーク、エキゾーストバルブ径変更
- ヘビーウエイトフライホイール
- ツインインジェクション
- ターボ・スーパーチャージャー
など
上記のカスタムは、単体ではフラッシュチューニングでも対応可能で、性能面でも問題はありません。
しかし、複合的にカスタムする場合は、純正コンピュータでは設定できる項目が少ないため望んだ性能を発揮させるためには、レーサーの限界セッティングもできるフルコンが良いと思います。
大きなエンジンチューニングを望んでいない場合はフラッシュチューニングがベスト。
長く乗っている間に求める味や性能に足らなく感じたら、パーツを追加するケースが想定できればフルコンがベストと言えます。
フルコンの充実したサポート
フラッシュチューニングはメーカー保証などはありますが、セッティングに関するサポートなどは購入したショップのみです。
他店で購入した場合はサポートは受けられず、他店にチューニング依頼をした場合は割高に設定されています。
その点、フルコンは全国でネットワークを組んでいるケースがあり、バージョンアップなどは半永久的に日本全国で無償でサポートが受けられます。
インジェクションに限ったことではありませんが、デジタル機器は、販売、チューニングしたら終わりではありません。
バージョンアップで機能追加や性能、信頼性の向上などを無償で行い、私たちにとって長い付き合いになる大切なハーレーを、常に最新の状態にしてくれるサポート体制が必要です。
ノーマルでもインジェクションチューニングは必要ある
1気筒あたり最大1,000ccにせまる空冷大排気量エンジンで、現在の厳しい排ガス規制をクリアするには、不可能に近いほど極めて困難です。
そのため、ガソリン量を薄くして規制をクリアしています。
しかし、規制をクリアするために、多くの犠牲があります。
- 希薄燃焼でエンジンが異常加熱をおこし、エンジン、ライダーともに快適性を失われている
- 熱でノッキングが発生しやすい
※ノッキングはエンジンに致命的なダメージを残すケースがある - 混合気不足から、トルクが不足している
- トルク不足による、鼓動感が感じにくい
このような状態はエンジンにとっても、ライダーにとっても快適な状態とは言えません。
この希薄燃焼の状態をインジェクションチューニングで適正な状態にすると、空冷大排気量エンジンの魅力が手に入ります。
ハーレーのインジェクションチューニングは3種類
- サブコン
- フラッシュチューニング(純正コンピュータ書き換え)
- フルコン
フラッシュチューニングとフルコンは、一般的に販売さているマフラー・エアクリーナーで、チューニングした場合は性能面での差はありません。
ただし、ハーレーダビッドソン社・スクリーミンイーグルを超えるようなカスタムをする場合や、どんな環境でも性能を発揮できる機能をもっているのはフルコンです。
サブコンとは?
純正のコンピューター(以下、純正ECM)とナローバンドO2センサーを使用し、純正ECMから出る一部の信号をサブコンを通して変更する。
サブコンメーカー
- ダイノジェット社: パワーコマンダー
- バンス&ハインズ社: フューエルパック
- アレンネス社: BIG SHOT2 フューエル・チューナー、Cheap SHOTフューエル・チューナー
- ワイセコ社: フューエルコントローラー
粗悪品も含め、多数存在します。
サブコン、またはエンリッチナーは、何もしないよりは良い程度なので、恒久的な使用はおすすめできません。
フラッシュチューニングとは?(純正コンピューター書き換え)
フラッシュチューニングは純正ECMを使用するため安心感があるため、フルコンと同様に主流になりつつあります。
チューニング方法は、純正ECMとナローバンドO2センサーを使用し、純正ECMの設定値を変更する。
O2センサーとは:排気ガスの酸素の有無を検出するセンサー。酸素の濃度を検知しガソリン量を調整するために使用される。
ナローバンドO2センサーを使用したチューニングでは、マフラーから排出される酸素を検知できる幅がほぼないので、チューニング中のみ、検知の幅が広いワイドバンドO2センサーを使用しチューニングします。
- ダイノジェット社: パワービジョン
- テクノリサーチ社: ディレクトリンク
- バンス&ハインズ社: フューエルパックFP4
一般的に市販されている、エアクリーナー・マフラーなら、フラッシュチューニングで十分に性能は引き出せ、費用もフルコンより5万円ほど安くなります。
フラッシュチューニングはトラブルが少ないといいますが、純正ECMと機器を併用する為に、機能の齟齬が発生する場合があります。
一概にトラブルが少ないとは言えません。
熟練者によるフラッシュチューニングは、フルコンに負けない性能を引き出せる
「スマホで簡単に出来る・個人で出来る」などの宣伝を見かけますが、個人で扱えるような機器ではありません。
チューニングは、回転数とアクセル開度の組み合わせを考える必要があるので、走行して確かめるのは極めて困難です。
必ず熟練者にセッティングしてもらうか、サポート体制(電話・メール)がしっかりしているショップで、必ず日本の正規品を購入してください。
フラッシュチューニングについては、詳細な記事がありますので、こちらの、【フラッシュチューニング】データの精度はどれがベスト?も読んでみてください。
高度な制御ができるフルコンとは?
純正ECMとナローバンドO2センサーを、社外のECMとワイドバンドO2センサーに交換し高度なチューニングする。
フルコンメーカー
- ジッパーズ社: サンダーマックス
- デイトナ ツインテック社: TCFI
フルコンは一般的(車も含めて)に、レースベース車両に使用される超プロ級のコンピューターです。
フルコンのチューニングは、プロチューナーにしかセッティングができないほど、極めて複雑なチューニング機器です。
マップをダウンロードして個体差をなくすチューニングになれている、フラッシュチューニングのメカニックでは手に負えないレベルです。
下記のような大幅に性能アップ、テイストアップをあげる場合には、純正コンピュータではセッティングできる項目が少ないため、豊富なセッティング項目があるフルコンの方がベストなチューニングが可能になります。
- モディファイドカム(他のパーツもチューニングが必要なカム)
- ビッグボアスロットルボディ
- ボアアップ・ストローカー・低フリクションピストン
- ヘッドチューン・圧縮比変更・インテーク、エキゾーストバルブ径変更
- ヘビーウエイトフライホイール
- ツインインジェクション
- ターボ・スーパーチャージャー
など
上記の内容は、単体ではフラッシュチューニングでも性能は十分発揮できますが、複合的にカスタムし、最大限にパフォーマンスを引き出すには、チューニング項目が多いフルコンがベストだと思います。
費用はフラッシュチューニングと比べ、5万円程度しか変わらないので、長く乗るつもりなら幅のあるフルコンの方をおすすめします。
フルコンの場合はマフラー交換程度なら瞬時に空燃比を合わせるため、再チューニングの必要もなくノッキングの心配もなく費用もかかりません。
フルコンについては、詳細な記事がありますので、こちらの、【インジェクション 】フルコンはハーレーの可能性を最大限に引き出せるも読んでみてください。
ハーレーのO2センサーの違いは酸素を検知できる幅
O2センサー(oxygen sensor)は、排気ガスに含まれる酸素を検知して、エンジンの燃焼状態を把握するためのセンサーです。
エキゾーストパイプにO2センサーが付いていて、以下の2種類があります。
- ナローバンドO2センサー:14.5~15.0
- ワイドバンドO2センサー:10.3~19.0
どちらのO2センサーも、排出される酸素を検知するためのセンサーですが、違いは酸素を検知できる幅がことなります。
- ナローバンドO2センサー:理論空燃比あたりを検知するためのセンサーのため、空燃比がズレると反応できなくなる。
- ワイドバンドO2センサー:常に空燃比の信号が出てくるので、その信号を使用し常時ガソリン量の噴射量を調整できるため、パワーを出すセッティングが可能になります
なぜ、ナローバンドO2センサーは狭い範囲しか検知できないかというと、排出ガス規制をクリアできる理論空燃比(14.7:1)のみを読み取るためです。
ワイドバンドO2センサーは、常にマフラーから排出される酸素量を検知し、ガソリンの噴射量を決めるので空燃比が大きく変わっても瞬時に制御されます。
ナローバンドとワイドバンドO2センサーでは、役割が違うということです。
常に制御される方式をクローズドループといいます。
- オープンループ
排出される酸素量が変わっても、O2センサーからフィードバックされないため、コンピュータに設定されたデータで走行する(フラッシュチューニング) - クローズドループ
排出される酸素量が変化したら、O2センサーからデータをフィードバックして、瞬時に空燃比を合わせて走行する(フルコン)
O2センサーの耐久性
ワイドバンドに比べ、ナローバンドO2センサーは走行中に使用されることが無いため、耐久性が高く、推奨交換時期は45,000Km~80,000Kmです。
両方ともに取り扱いを間違えると、O2センサーは簡単に壊れるので、メンテナンスには注意が必要です。
- 断線
- プローブのショート
- 付着物
- O2センサーの取り付け不良
O2センサーの参考価格
- ナローバンドO2センサー:8,000円
- ワイドバンドO2センサー:15,000円
※社外品の価格
O2センサーについては、詳細な記事がありますので、こちらの、【インジェクションチューニング】O2センサーは燃調を最適な状態にできるセンサーを読んでみてください。
サンダーマックスとツインテック(TCFI)の違い
生まれが違います。
サンダーマックス社:ハードウェア会社
ツインテック社:ソフトウェア会社
機能面では
マップデータはサンダーマックスは数百あり、シャシダイがなくても知識があればセッティングできるのでは、と思えるほど整っています。
取扱いショップ(非正規品も含め)の多さから、ユーザー間の情報のやり取りや、メーカーのサポートもあり、ネットでマップがダウンロードなどが出来るなど、比較的、簡単に最低限のセッティングが可能です。
用意されているデータはアメリカのデータなので、交通事情とオクタン価、純正マフラーの違いはありますが、データを参考に仕様の違いを考慮すれば最低限の状態は作れます。
しかし最終的には、
- 空燃比に問題はないか?
- 点火時期は?
- もっとパフォーマンス出るのでは?
- この症状はセッティングの問題なのか?
という疑問がつきまとうので、シャシダイでの確認は必要だと思います。
さらにシャシダイから、データを読み解く必要があるので、そういった分析から次のアクションができる、という方には非常に面白いものです。
そうでなければ、最初からプロチューナーにセッティング出したほうが費用も安く、ベストな状態でツーリングを楽しめます。
ツインテックはソフトウェア屋さんらしく、UI(グラフィックや操作性)の出来が良く、使いやすくわかりやすい。
テーブル単位でグラフィック表示されるので、非常に詳細な設定が出来ます。
ただし、非常に細かいチューニングが出来る分、設定項目はサンダーマックスより多く、セッティングを出すのが大変難しいです。
シビア過ぎて、手をつけたほとんどのショップ(ディーラーも含め)は諦め、サンダーマックスで対応するほどです。
逆に言えば、サンダーマックスのセッティングの出しやすさは非常に優秀です。
その反面、ツインテックはどのような仕様でも、プロチューナーであれば完璧なチューニングが可能です。
サンダーマックスでは出しにくいセッティングも、ツインテックなら可能です。
又、バッテリー低下や、電子スロットル制御などの緊急回避(リンプモード)の安全性にも力を入れています。
デジタルテクニシャン(H-D純正診断デバイス)でしか作業できなかった項目も、TWIN SCAN4であれば同等のセッティング・診断が可能です。
こういった細かいセッティングにも対応しているのが、ソフトウェア会社らしいツインテックの特徴です。
※デジタルテクニシャンはハーレーのディーラーでしか所有できない超高額なセッティング、診断デバイスです。
最近ではツインインジェクション用のソフトウェアを、サンダンスと共同開発してリリースしています。
シリンダーごとにインジェクションスロットルボディを取り付け、エアフローを高め大幅にパワーを上げることができます。
こういった高レベルな制御は、ソフトウェアを得意としているツインテックのほうが優れているといえます。
インジェクションチューニングでマフラー交換した場合の車検
排ガス規制で抑えられていたパフォーマンスを開放したら「環境に悪く、車検が不合格になるのでは?」と思いますが、ガソリンがキレイに燃焼されるので、環境に悪いわけではありません。
効率の良い燃焼は、不完全燃焼で発生するCOやHCといった有害物質を減らすことができ、エンジン温度が下がればエンジンの耐久性、ライダーの快適性も向上します。
フルコンならマフラー交換で車検は通る
レース用マフラーでチューニングしてあっても、ノーマルマフラーに戻すだけで車検に合格します。
ワイドバンドO2センサーを使用しているので、瞬時に空燃比を合わし最適な状態を保ちます。
音量可変マフラーでは音量を替えると空燃比が変わります。フルコンなら即、空燃比を合わせられるため問題はありません。
フラッシュチューニングで可変させた場合、長時間使用しなければエンジンに問題は発生しません。
フラッシュチューニングはアイドリングのチューニング次第
フラッシュチューニングの場合は、アイドリング付近の空燃比を変更してないチューニングなら車検に合格します。
アイドリング付近をチューニングしている場合は、不合格の可能性があるので確認が必要です。
サブコンの車検は機器をはずす
手間がかからないので、機器を外したほうが良いでしょう。
まとめ
ここまで、インジェクションチューニングの詳細を解説いたしました。
以下に、ポイントをまとめています。
- ノーマルのインジェクションセッティングは、排ガス規制をクリアするためにある
- おすすめのチューニング方法は、費用、性能、サポート面でフルコンが優れているケースがある
- エアクリーナー、マフラー、ハイカム程度のライトチューンであれば、フラッシュチューニングとフルコンでは性能の差はない。
- フルコンならあらゆる仕様のパーツでも、最大限パフォーマンスを発揮でき、ノッキングの心配もない
- 車検はノーマルマフラーを取り付ければフルコンは問題ないが、フラッシュチューニングはアイドリングのチューニング次第で決まるので、メカニックに要確認
インジェクションの技術は環境に優しく、エンジンを面白くできる技術です。
環境対策も行いながら、空冷エンジンの面白さを引き出せる、とてもハーレーを楽しくしてくれるシステムです。
ぜひ、あなたの大切なハーレーにとって、ベストなチューニングをして気持ちよく走りましょう。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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