- 電子スロットルのレスポンスが、ワンテンポ遅れる
- 加速したいときに加速しない
- ケーブルのようなリニアな反応がない
- 電子スロットルの不具合などを知りたい
こういったツインカムの電子スロットル特有の疑問にお答えします。
今までのTCのケーブルモデルのハーレーに乗っていた方は、ダイレクトなレスポンスがなく、電子スロットルに違和感を感じることが多いと思います。
結論からいうと、ツインカムならケーブルモデルのスロットルボディがあるので、変更することをおすすめします。
ミルウォーキーエイトであれば技術のあるチューナーに、ケーブルモデルのようなレスポンスを要望して、近い状態にしてもらうしかありません。
※M8はケーブルモデルがない
ハーレーの電子スロットルの特徴
従来のケーブルモデルでは、スロットル開度に比例してスロットルバルブが開きますが、電子スロットルでは比例しません。
電子スロットルは扱いやすいように、スロットルレスポンスをかえたり、低速トルク感を出すために、いきなりスロットルバルブの開度を大きくしたり、従来のケーブルでは出来ない味付けをしています。
※ミルウォーキーエイトは低速トルクの演出がされている
アクセルを一気に全開にしても、徐々に全開になるようになっていて、空冷らしいファジーさを演出するようにセッティングされています。
スロットルを全開にしても、実際に開いているスロットルバルブの割合(参考)
- 1速 18%
- 2速 27%
- 3速 40%
- 4速 92%
- 5速 100%
- 6速 100%
上記の通り、5・6速以外はアクセル全開にしても、スロットルバルブは全開にならずに電子的に吸気量の調整がされています。
慣れてしまえば、そういう乗り方になりますが、比べてしまうとケーブルモデルのリニアな反応の良さを感じてしまいます。
ミルウォーキーエイトでは、サイドドラフトで4バルブにしたために、エンジン効率が落ち、かなり変則的な電子スロットルのセッティングがされています。
電子スロットルのメリット
電子スロットルのメリットも、もちろんあります。
ケーブルモデルでは、スロットルに対してレスポンスが良いので、キビキビ走り過ぎてツーリングで疲れやすくなることがあります。
電子スロットルはレスポンスがなめらかで、乗りやすくゆったり走れますし、とても便利なクルーズコントロールもあります。
ハーレーダビッドソン社は、電動バイクに水冷エンジンモデルの発表を行っています。
ミルウォーキーエイトの2019年モデルからは、多くの電子制御が投入されました。いずれライブワイヤ同様の電子制御が標準になると思われます(REFLEX ディフェンシブライダーシステム(RDRS))
ケーブルモデルのスロットルボディはキット化されている
長く愛車(TC)を乗る続けるつもりで、ハーレーの魅力もっともっと引き出したい方は、ハイカム・シリンダーヘッド・ピストンなどをいずれカスタムすると思います。
その際に、吸気量を増やすためにビッグスロットルボディをカスタムするタイミングがあれば、ケーブルモデルを選ぶのがベストです。
ビッグスロットルボディに変えるタイミングに、ケーブルモデルのスロットルボディを選択する
ケーブルモデルで、パワフルになった空冷大排気量エンジンの素の良さを存分に味わえる
日本では、サンダンスが電子スロットルから、ケーブルモデルに変更するキットを販売しています。
ワイヤーハーネス・カプラーの製作もされている為、インジェクションセッティングしているショップであれば容易に交換が出来ます。
ぜひ、空冷大排気量エンジンの本来のファジーさと、ハイトルクを感じてもらいたいです。
ビッグスロットルボディでパフォーマンスアップついては、こちらの、【走り派必見】ビッグボアスロットルボディの交換で馬力アップ!を読んでみて下さい。
インジェクションチューニングで電子スロットルの違和感は軽減できる
フルコンや、純正ECMの書き換えやで、ケーブルモデルのようにスロットルの開度に比例させるマップの作成はできます。
ほとんどのショップが行っているベースマップをダウンロードして、シャシダイで個体差をなくす作業ではないので、チューニングショップに要相談です。
しかし、まだ、ハーレーの電子制御システム自体が未熟なので、完璧にケーブルと同じフィーリングにはすることは、現在は困難ですがある程度は近づけられます。
インジェクションチューニングについては、こちらの、【圧倒的な可能性のフルコン】ハーレーの純正の枠にはまるなを読んでみてください。
ハーレーの電子スロットルの故障や不具合
スロットルボディを分解すると、スロットルボディ側も樹脂のギヤです(スロットル側も樹脂製)
V型2気筒の大排気量エンジンは、吸気がとても強いので、モーター・ソレノイドで2次エアが入らないように強力に締めてあります。
ギアが樹脂製で欠ける事象が出ているので注意してください。
ギヤが割れても、スロットルが全開にならないように、リンプモード(緊急避難モード)が純正ECM・ツインテックTCFIには備わっているので問題にはなりませんが、ギヤ・モーター・ソレノイド・システムなど複雑になるので、不具合はケーブルモデルと比べると多く発生してます。
社外エアクリーナーに変えている場合は、スロットルボディ左側に水がかからないように注意して下さい。
写真赤枠のカプラー先端端子に、水または湿気が入ると、接点不良、モーターとソレノイドを制御している基盤の損傷が起こります。
接点グリス・コンタクトグリスでメンテナンスしてください。
電子スロットルが登場して、10年以上は経過しているので注意が必要です。
ミルウォーキーエイトのスロットルボディは樹脂とガラス繊維製
ミルウォーキーエイトのスロットルボディは、TCのアルミキャストから、樹脂とガラス繊維製(PA6-GF30)にかわりました。
樹脂とガラス繊維の特徴は、耐熱性・強度・じん性が高く割れや変形には強いですが、ハーレーのような巨大な空冷2気筒エンジンでは、シリンダー間の距離が熱により変わるため二次エアが発生しやすい。
樹脂材は有機物質なので基本的に経年劣化します。今後注意が必要と思われます。
まとめ
電子スロットルは良い面も非常に多く、将来性もあります。
しかし現在のハーレーの電子制御では、バイクの醍醐味をうすめてしまう可能性があります。
ホンダの最新のCBR1000RR(SC77)は2017年に電子スロットルにしました。
それまで180馬力も発生するバイクでもスロットルケーブルを採用していました。
理由は徹底した扱いやすさの追求と、スロットルバルブの動きが1:1で反応の良さのためです。
ハーレーの電子制御(電子スロットル・ABSなど)が、違和感を感じさせないメカニカルなタッチで、よりきめ細かく制御出来ることを期待しています。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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