空冷スポーツスター883は2割近くも、他のハーレーよりもロングストロークエンジンです。
あの心地よいフィーリングは「883の超ロングストロークエンジン」が関係していたと考えられます。
883が、世界中で人気があるひとつの理由だと思います。
スポーツスターの883のボアストローク比は「1.3」で、ハーレーで一番のロングストロークエンジンです。
- XL883のボアストローク比は「1.3」
- XL1200のボアストローク比は「1.1」
- FLH 117のボアストローク比は「1.1」
※ストローク ÷ ボア = ボアストローク比
883は、心地よいフィーリングを持つロングストロークエンジンで、スポーツスターはまぎれもないハーレーのレーサーです。
だから、883は乗っていて楽しい。
ハーレーのロングストロークエンジンの特徴
ロングストロークエンジンはピストンの移動距離が長いため、1度に大きく混合気を吸い込むことができます。
吸い込んだ空気に見合ったガソリンを供給し、プラグで点火させれば強い燃焼圧力を生み出すことができます。
その強い燃焼圧力でピストンを長い時間、押し下げ、鼓動感を生みだす重いフライホイールを回すことが出来るようになります。
このハーレー特有の重いフライホイールが回ることによって、強烈な低速トルクと鼓動感がうまれます。
そしてロングストロークエンジンの代表が空冷スポーツスターの883です。
絶対的なスピードは、XL1200にはかないません。
しかし、空冷スポーツスターの883はロングストロークの鼓動感はもちろんのこと、1200では回しにくいレブまで躊躇なく回すことができ、しかもハーレーのレーサーの4CAMエンジンです。
ビッグツインにはできない、高回転からの鋭い加速が可能です。
SSはどのハーレーよりも圧倒的に速く、リミッターの299km/hまであっという間に到達します。
しかし慣れてしまうと、圧倒的なスピードを感じにくくなります。
鼓動感あるハーレーはリミッターまで回さなくても、体感速度はSSよりも高く感じます。
これは感覚的なものなので、誰にでも当てはまることではないと思いますが、バイクの楽しさ、気持ちよさは、絶対的な数値では語れないと感じています。
883の魅力も、そういったところにあるのではないでしょうか。
空冷スポーツスターの883乗りなら一度は悩むボアアップ
883乗りなら一度は、ボアアップを検討したことがあると思います。
883のフィーリングは大好きだけど、少し物足りなく感じる。
- 他のハーレーとツーリングしたときに感じるパワーのなさ
- 低回転からの加速がほしい、高速でももっとパワーがほしい
ボアアップはとても魅力なカスタムです。
確実に物足りなさをカバーしてくれます。
「80馬力以上を発生させたい」と具体的な数値目標があれば、1200や1250のボアアップがベストだと思います。
そうでなければ、883のままで883にしかない魅力を引き上がるのがベストです。
・883は、ハーレーを代表する心地よい鼓動感がある「超ロングストロークエンジン」
・883のフィーリングを大切にする場合は、ボアアップではなくヘッドチューニングがベスト
・ヘッドチューニングとは、エンジンの基礎パワーを上げるチューニングの基本
883のフィーリングを最大限に活かせるヘッドチューン
シリンダーヘッドを交換、または加工するだけで、ロングストロークエンジンの883の魅力をさらに引き上げられます。
シリンダーもピストンも交換する必要はありません。
改造申請も必要はありません。
ノーマルのシリンダーヘッドは吸気効率が悪く、排気量分の空気が入ってきません。
排気量分の空気を吸気する為に、吸気バルブを大きくして、燃焼室の加工を施し吸気効率を上げます。
883特有のロングストロークエンジンのままで、あのフィーリングを残してボアアップ同等以上のパワーを得るには、シリンダーヘッドのチューニングがベスト
バルブ径を広げ最適なシートカットにポート加工(吸気通路の見直し)
吸排気効率を上げるために「吸気バルブ・排気バルブ」の径を大きくします。
バルブ径を大きくすると流速が遅くなるので、バルブシートカットで流速を速めるカットをほどこすと、このバルブ周りだけで10%の出力アップが可能になります。
バルブシートカットのノウハウは、相当な熟練のエンジニアでないと、いちじるしく効率が下がる場合があります。
作業自体は難しくないですが、エンジニアのスキルが求められる重要な箇所です。
空気の損失をできる限り減らしすために、ポート加工と吸気通路の見直しを行います。
少しでもポートに凹凸や、空気のうずの縮流が発生する吸気通路では、混合気が入ってこれません。
壁面近くは川の流れと同じように流速が落ちるので、口径は十分に考慮する必要があります。
ビックバルブ・バルブシートカット・ポート加工(吸気通路の形状見直し)の高効率で、20%程度の吸気量の増加につながります。
このことにより、ボアアップと同等以上の混合気が吸気され、強い燃焼圧力が生まれます。
シリンダーヘッドのローコンプ加工(低圧縮化)
シリンダーヘッドの燃焼室を削り、日本のオクタン価に合わせた圧縮比にします。
ハイオクのオクタン価96以上は、ハーレーで使用しても数値上は当然問題はないのですが、近年のガソリンの変化や、日本の交通事情により、適切なオクタン価ではないと思われます。
事実ノーマルでもノッキングが発生し、低速トルクが出ていません。
オクタン価にあった圧縮比は、低回転から高回転まで力強く回ります。
ボアアップしても圧縮比を合わせなければ、低回転からの加速はできません。
エンジンチューニングとは吸入空気量の追求であり、燃焼室・バルブシート・ポート加工(吸気通路)で得られる
ヘッドチューンの結果、883の良さを残したままでさらに楽しくなった
ヘッドチューニングで、883はロングストロークエンジンのままで、味わい深さとパワーを得ることができ、ロングツーリングが楽になりました。
しかし、883はスポーツスターです。
ヘッドチューニングで、高回転からの加速がさらに増してます。
883のワインディングは最高に楽しく気持ち良いです。
積極的にエンジンを回して、ギアを選びながらワインディングを走る。
1200やビッグツインなら、パワーバンドを外しても余裕がありますが、883はこのシフトチェンジを頻繁に行い、V型2気筒エンジンの力強さを維持させます。
これがうまくいった時の爽快感は素晴らしいものがあります。
883ならではの走り方です。あえて引っ張って楽しむのが883の醍醐味です。
まさに水を得た魚のように走ってくれます。
まとめ
1200やビッグツインの余裕のあるツーリングも楽しいですが、883の良さは883でしか出せません。
それを知っているのは883乗りです。
世界中で人気がある883です。
そうでなければ、すでに883はなかったでしょう。
ぜひ、今ある883の魅力を引き上げてください。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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