- ミルウォーキーエイトの馬力やトルクを出したいけど、エアクリーナーやマフラーなど、どういったパーツを選べば良いかわからない
- インジェクションチューニングである程度はパワーは得たが、もっと味わいやパワーがほしいけど、なにをすれば良い?
こういった疑問にお答えします。
この記事で説明するのは、馬力やトルクの基礎となるエアクリーナー・マフラーの選び方に、インジェクションチューニング方法に加えて、さらにパフォーマンスを上げるハイカムを説明します。
加えて、吸排気・インジェクションチューニングだけでは強くならない体にずっしりとひびく、物理的な本物の鼓動感についても説明します。
ミルウォーキーエイトの4バルブエンジンの活かし方
ミルウォーキーエイトのエイトは名前の通り、2気筒で8バルブを使用するエンジンです。
先代のツインカムと異なるのが、バルブの数とカムシャフトの本数です。
4バルブ化のメリットは、燃焼室に対するバルブがしめる面積を広くとることができ、2バルブよりバルブ径を小さくできるので、混合気の流速を速めることができます。
さらに、少ないバルブの開閉量で、多くの混合気をすばやく吸気させることができ、同じ開閉量ならTCよりも多く吸気できることが期待できます。
エンジンの馬力とトルクは、吸気できる空気の量で決まる
そして、このバルブを開閉させるのが下図のカムシャフトです。
2バルブよりバルブを大きく開閉しなくても良いので、1本のカムシャフトでも、高回転で正確にバルブの開閉をすることができます。
つまり、4バルブのミルウォーキーエイトはツインカムよりも、高回転で高出力向けに開発されたエンジンと言えます。
しかし、横から混合気を吸気するサイドドラフトを採用しているため、効率でいえばツインカムの方が上回っている面もあります。
ミルウォーキーエイトは高出力で設計はされていますが、ノーマルでは大幅に出力を下げています。
1気筒最大1,000ccに迫る空冷エンジンの発熱量をコントロールして、現在の厳しい排ガス規制をクリアするのはきわめて困難なためです。
そのため、ガソリン量を極端に減らして希薄燃焼で規制をクリアしています。
空冷エンジンの希薄燃焼は、エンジンの出力低下に異常加熱が起こりやすくなります。
異常加熱はノッキングの可能性をあげてしまい、エンジンにとっても、ライダーにとっても過酷な状況と言えます。
さらに希薄燃焼は、大きなハーレーを動かすにはエネルギーが十分とは言えません。
その足らないエネルギーを得るために、エアクリーナーで多くの空気を吸気させ、その空気に見合ったガソリンを供給させて燃焼させます。
綺麗に燃焼させたガスをスムーズにマフラーで排出させれば、本来の空冷大排気量エンジンの強烈な低速トルクが手に入り、ミルウォーキーエイトの特長の低中回転まで回る力強さも実現できます。
綺麗に燃焼させているので、環境に悪いことはなく、エンジンの熱も下がります。
厳しい排ガス規制で失ったエネルギーを取り戻し、最高のミルウォーキーエイトにするための方法を、イラストや写真などを使用して詳しく説明したいと思います。
吸排気にインジェクションチューニングで大幅に馬力・トルクアップ
ハーレーらしい粘りのある低速トルクに、空冷大排気量エンジンの迫力ある加速を味わうには下記が必要になります。
- 抜けの良いマフラー:たくさん排気ガスを排出させる
- ハイフローエアクリーナー:たくさん空気を吸気させる
- インジェクションチューニング:ガソリンと空気を効率よく燃焼させ、燃焼力を強くさせる
この3つでパワーが飛躍的に向上し、とても味わい深いハーレーに変わります。
人間の呼吸と同じように大きくはかないと、大きく吸い込めないので、吸気(エアクリーナー)と排気(マフラー)はセットで変えます。
たくさんの空気を吸気するハーレーのエアクリーナーの選び方
エンジンの馬力、トルクは吸気できる空気の量で決まる
そのため、空気の入口のエアクリーナー選びは重要です。
市販品のエアクリーナーで吸気効率がいちばん高いエアクリーナーは、下記のK&Nの全方向から吸気できるフィルターになります。
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このフィルターを使用したRSDタービンが吸気効率が高い。
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下のエアクリーナーは全面にカバーをしているため、RSDのタービンより吸気効率は低いですが、おなじフィルターを使用しているので吸気効率は高い。
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その他に、パフォーマンスマシンや他のメーカーでも、同じフィルターを使用したエアクリーナーはあります。
全天候型で吸気効率が高いのは、S&Sのステルスエアクリーナーが優れています。
カバーは多くのメーカーやショップから発売されているので、性能とデザインを両立できます。
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極端に小さなエアクリーナーは吸気効率は良くないですが、空冷エンジンのフィンの美しさが目立つので、性能に満足していればおすすめです。
たくさんの排気ガスを排出するマフラーの選び方
吸気のエアクリーナー同様に重要なのが、抜けの良いマフラーです。
吸気効率の高いエアクリーナーを付けても、たくさん排出できなければ、たくさん吸気はできない
ハーレーは2気筒エンジンでも、珍しい同軸クランクを採用しています。
そのため、4気筒エンジンのように集合管で集合部を強くしぼるメリットは、ほぼありません。
排気効率だけでいえばドラッグパイプのような独立管のマフラーか、2in1で集合部をしぼらないタイプです。
独立管:1気筒に1つのマフラーがついているタイプ
2in1:2本のマフラーが1本に合わさるタイプ
音量や音質は、下図のバンスアンドハインズのショートショットのような、ショートタイプのマフラーはかなりの爆音で、逆に長いマフラーだと音は重低音に変わります。
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マフラー選びは難しく、高回転で馬力タイプなら上記のようなショートマフラーで、低速トルクタイプなら下図のようなロングタイプが適しています。
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音量、音質、性能などで、選択するマフラーは変わってきますが、ある程度は見た目で、どういった特長のマフラーかは推測はできます。
マフラーについては、詳細な記事がありますので下記の記事も読んでみてください。
吸気のエアクリーナーに排気のマフラーで、多くの空気がエンジンに入るようになりました。
エンジン内に入った空気に見合ったガソリン量を調整して供給するのが、インジェクションチューニングです。
このインジェクションチューニングにより、ハーレーらしい迫力のある音に、粘りのある低速トルク、ミルウォーキーエイトの特長の低中回転まで続く馬力が手に入ります。
ミルウォーキーエイトのインジェクションチューニング
インジェクションチューニングは燃調とも言います。
インジェクションチューニングには以下の3種類の方法があります。
- フルコン:純正コンピュータを、社外コンピュータとワイドバンドO2センサーに変えてチューニングする
- フラッシュチューニング:純正のコンピュータとナローバンドO2センサーにチューニング機器を併用してチューニングする
- サブコン:純正コンピュータからでる信号にサブコンを通してチューニングする
サブコンはしないよりか良いという程度なので、恒久的な使用はおすすめはできません。
フルコンとフラッシュチューニングが主流です。
フルコンとフラッシュチューニングの違いは下記になります。
フルコン | フラッシュチューニング | |
コンピュータ(ECM) | 純正ECMを高度なECMに交換する | 純正ECMを使用する |
O2センサー | ワイドバンドO2センサーに交換する | 純正のナローバンドO2センサーを使用する |
性能 | 全てのカスタムに対応可能できる | 吸排気やハイカム程度であれば、フルコンと同様の性能を発揮する |
金額(参考) | 20万円前後 | 12万円~17万円程度 |
性能、機能面でいえばフルコンになりますが、通常のカスタムの範囲であればフラッシュチューニングもフルコンも性能に差は出ません。
フラッシュチューニングは純正ECMに、純正O2センサーを使用するので安心感があり人気があります。
車検はアイドリングの排出ガスの検査なので、ノーマルデータに戻さなくて受かるケースがあります。
しかし、フラッシュチューニングはナローバンドO2センサーを使用するため、他のマフラーに変える場合は再チューニングと再チューニング費用が必要になります。
その点、フルコンはワイドバンドO2センサーという、マフラーから排出される酸素の量を正確に測れるので、常に最適な空燃比で走行できます。
フルコンはマフラー交換程度であれば、即制御されるたま再チューニングが必要ありません。
何度かマフラー交換したり、大幅にパフォーマンスやテイストをあげるカスタムをする場合があればフルコンが適しています。
エアクリーナー、マフラー、ハイカム程度のライトチューンであれば、フラッシュチューニングがベストだと思います。
ライトチューンであればフルコンとフラッシュチューニングに性能の差はありません。
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- ボアアップ・ストローカー
- ヘッドチューン・圧縮比変更・インテーク、エキゾーストバルブ径変更
- モディファイドカム
- ビッグスロットルボディ・ツインインジェクション
- ピストン・ヘビーウエイトフライホイール
- ターボ・スーパーチャージャー(フルコンのみ)
上記のようなカスタムは、単体ではフラッシュチューニングでも性能は発揮できますが、複合的にチューニングし、性能やテイストを最大限引きあげるためには、フルコンが必ず必要になります。
費用の差はフルコンの方が5万円ほど高くなりますが、長く乗るのであれば結果的にコストは抑えられます。
純正のシステムを使用する安心感や、大幅にチューニングしたり、何回もマフラーを交換しないのであれば、フラッシュチューニングで良いと思います。
フラッシュチューニングは個人でチューニングすることは、はっきりいって不可能なので購入する場合は、必ず正規品で電話やメールサポートが充実しているカスタムショップを選んでください。
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以下の3点で、ミルウォーキーエイトはかなり楽しめるエンジンに変わっています。
- 抜けの良いマフラー:たくさん排気ガスを排出させる
- ハイフローエアクリーナー:たくさん空気を吸気させる
- インジェクションチューニング:ガソリンと空気を効率よく燃焼させ、燃焼力を強くさせる
エンジンの高効率化でミルウォーキーエイトは、粘りのある低速トルクに上まで綺麗に回る力強いエンジンになっています。
しかし、ミルウォーキーエイトの魅力はこれだけではありません。
ミルウォーキーエイトは4バルブエンジンです。ツインカム以上にハイカムの恩恵を受けられることが期待できます。
飛躍的に馬力をあげるハイカム
上図のカムの役割は、吸気と排気のバルブの開閉に使用されます。
ハイカムはノーマルカムの形を変えて、バルブの開ける高さ(リフト)を変えたり、開けている時間(デュレーション)を長くしたりして、吸気と排気をコントロールしてエンジン特性を変えます。
吸排気とインジェクションチューニングと同じように、カムも同じように厳しい排ガス規制のために、多くの空気を吸えないカムになっています。
通常ハイカムは高回転、高出力のためですが、ハーレーの場合は厳しい排ガス規制をクリアするために、吸気量を減らすカムを使用しているので、ハイカムに変えれば全域でパフォーマンスがアップします。
高回転時は、排気バルブと吸気バルブの両方を開けるタイミングを作り、吸気の効率を最大化させます。
この両方開いているタイミングを”バルブオーバーラップ”と言います。
ハイカムのバルブオーバーラップで、高回転時にかなりのパフォーマンスを発揮します。
ミルウォーキーエイトは厳しい排ガス規制を受けているため、ハイカムの恩恵はかなり得れるカスタムなので、さらなるパフォーマンスを上げたい場合におすすめです。
ハイカムについては、詳しい記事がありますので、こちらの、性能と味わいに直結するハイカム!カムプロフィールと選び方と、【ハイカムとは?】ハーレーのエンジン特性が変わるパーツ!!を読んでみてください。
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ハーレーらしい深い味わいにするヘビーフライホイール
一般的なエンジンチューニングの、吸排気にインジェクションチューニングにハイカムで、馬力、トルクはかなりあがります。
しかし、ハーレーらしさと言われる鼓動感をあげるには、物理的にカスタムしないとあがりません。
その方法はフライホイールのヘビーウエイト化です。
ハーレーのエンジンは、高速道路の制限速度アップや、ライバルメーカーに負けないために軽量フライホイールに変わっていきました。
軽量フライホイールのメリットは、アクセルレスポンスが良く高回転までスムーズに回る点です。
しかし、そのぶんハーレーらしさと言われる、低速トルクに鼓動感を薄めてしまいます。
重いフライホイールは、一度回りだすと慣性が強く働くので、低回転でも力強い低速トルクを発生させ、アイドリングを下げても安定して回転を続けます。
この重いフライホイールが、ゴロンゴロンと回転することにより、ハーレーらしさが生みだされます。
このヘビーウエイトフライホイールのカスタムは、強烈な粘りのある低速トルクに、ショベルヘッドに負けないほどの鼓動感を発生させるほど、とても魅力の増すカスタム
インジェクションチューニングにハイカム、さらにヘビーウエイトフライホイールのカスタムで、ミルウォーキーエイトの低中回転、高出力の豪快な加速に、低い回転数でも力強く走るミルウォーキーエイトの完成が期待できます。
フライホイールについて、さらに詳しく知りたい場合は、こちらの、【ミルウォーキーエイト】本物の鼓動感をフライホイールで強くする!を読んでみてください。
まとめ
ミルウォーキーエイトは発売して、2年ほど経ち技術やノウハウの蓄積が出来てきてました。
各メーカーから、パワーやテイストを深めるチューニングパーツが発売され、TCのポテンシャルに負けないエンジンの可能性を少しづつ見えてきました。
雑誌やネットなどでは吸排気にインジェクションチューニング、ハイカムなどに注目が集まっていますが、エンジンチューニングの要はシリンダーヘッドです。
シリンダーヘッドの研究開発は時間がかかるので、日本の環境に合うヘッドの登場にはもう少しかかりますが、4バルブエンジンの可能性は大きいので、ミルウォーキーエイトは今後さらに面白くなると思われます。
”ミルウォーキーエイトの2バルブ化!?”についても詳細な記事がありますので、ご興味あるかたはこちらの、ミルウォーキーエイトは4バルブではなく2バルブがベスト!?を読んでみてください。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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ぜひ参考にして下さい。