- なぜ、M8、TCソフテイルにバランサーが使用されているのか?
- バランサーは鼓動感も、消してしまうものなのか?
- バランサーは外せるものなのか?
こういった疑問にお答えします。
結論からいうと、
- バランサーは不快な振動の「高周波のびびり振動」を消すためのシステム
- バランサーは鼓動感を消すものではないが「ある程度は鼓動感を弱めてしまう」
- 不快な振動の「高周波のびびり振動」の「原因をなくせば、バランサーは必要ない」
- それでは、写真などを使い、詳しくお伝えしていきます。
ハーレーがバランサーやラバーマウントを採用している理由
バランサーやラバーマウントを使用している理由は、以下の2点があげられます。
- エンジンとフレームに隙間がなく、リジッドフレームに見えるソフテイルフレームを使用するため(ラバーマウントモデルはすき間が多くなる)
- フライホイールの芯出しを簡略化させたために発生した「不快な高周波のびびり振動」をなくすため
M8、TCソフテイルのリジッドマウントは、美しいフレームを維持するために使用している
ツインカムのソフテイルは、チェーン駆動のバランサーを使用しています。
ミルウォーキーエイトのソフテイルは(上図)、ギア式のデュアルバランサー(フロント・リア)を使用し、ツーリングモデルのラバーマウントは、シングルバランサー(フロントのみ)を採用しています。
1980年台に登場したFLT・FXRは不快な振動をなくすために、エンジンとフレームの間にラバーを使用したラバーマウント方式を採用され、旧ダイナ・ツーリングモデルに受け継がれています。
唯一のリジッドマウントのソフテイルは、フレームと直にエンジンをマウントしているので、隙間がなく美しいスタイルが実現でき剛性も高い。
ハーレーは、カスタムビルダーが考案したリジッド風フレーム(リアサスが見えない)に手を加え、クラシカルで美しいソフテイルに仕上げました。
やはりチョッパーを代表するカスタムハーレーは、フレームの美しさが重要な要素となるということです。
ハーレーは不快な振動をライダーに伝えたくない
「不快なびびり振動」が発生する理由は以下です。
フライホイールのクランクシャフトの芯出しの精度を下げて、生産量を上げるため
ハーレーは低速トルク向きのエンジン形式ですが、高速道路の最高速度アップにも余裕を持って走行できるように、高回転化、高出化にシフトしていきました。
しかし、回転数に比例して「不快な高周波のびびり振動が強くなる」という問題が発生しました。
不快な振動の原因は、フライホイールの芯出しの精度が低いためだったのですが、精度を高めると需要に見合う生産ができないために、不快な振動を伝わらないバランサーとラバーマウントを採用しました。
結果、不快な振動をライダーに伝えないことに成功し、生産力を上げるとともにライバルメーカーに負けない乗り心地が実現しました。
すべてのシリーズでラバーマウントを採用するほうが、同じエンジン仕様で対応できるため、コスト面のメリットは大きいです。
しかし、ラバーマウントを採用すると、フレームを大きくする必要があるため、ミルウォーキーエイトになってもデュアルバランサーで不快な振動をなくし、美しいスタイルのソフテイルフレームを維持させました。
ソフテイルのバランサーで鼓動感を消すことはできない
ハーレーはラバーマウントやバランサーを採用することで「不快な高周波のびびり振動」は解消されました。
しかし、バランサーを使用しているソフテイルのほうが、ツーリングモデルや旧ダイナと比べ鼓動感は弱いと言われています。
それは、エンジンの振動は同じでも、ラバーで振動が増幅され、車体大きく揺らす事ができるためです。
そのため、バランサー付きのソフテイルは鼓動感が弱く、ラバーマウントのほうが強いという意見が増えました。
- バランサーは鼓動感をある程度は弱くする要因ではあるが、あくまでも「バランサーシャフト」という、「不快なびびり振動」をなくすためのシステムである
- 重いフライホイールが回ることによる鼓動感までも、なくなるものではない
もし、V型2気筒エンジン特有の振動を薄くするのであれば、V-RODが採用していたシリンダーの狭角は60度にするはずです。
クランクの芯出しを行えばバランサーは外せる
M8、ツインカムのバランサーは外せます。
ミルウォーキーエイトもバランサーを外してヘビーウエイトフライホイールに成功しています。
ミルウォーキーエイトの本物の鼓動感を増す「ヘビーウエイトフライホイール」については、詳細な記事がありますので、こちらの、【ミルウォーキーエイト】本物の鼓動感をフライホイールで強くする!を読んでみてください。
ツインカムにバランサーが必要になったのは、クランクシャフトの芯出しの精度が低いために「不快な高周波のびびり振動」が発生したためです。
つまり、クランクシャフトの芯出しの精度を上げれば、バランサーは必要なくなり外せます。
バランサーを外せば、弱まったと言われる鼓動感(硬質な振動)を強くでき、バランサーのデメリットのフリクションや、重量増による馬力・トルクのロスを取り戻すことができます。
しかも、エンジンとフレームが直にマウントされているので、パワーの伝達力が強く、ラバーマウントよりもパワーは出しやすく、エンジンもフレームの一部となるので剛性もあがります。
マフラーもソフテイルのほうが自由度は高い、ラバーマウントはエンジンとフレームが異なる振動を起こすので、クラックなどの問題が発生することがある。
まとめ
ここまで、ソフテイルが採用しているバランサーについて解説いたしました。
クラシカルで美しいソフテイルフレームを活かすために、ハーレーはバランサーを採用し次世代エンジンのミルウォーキーエイトでも、リジッドフレームに見えるソフテイルフレームを採用しています。
以下に重要なポイントをまとめています。
- フライホイールのクランクシャフトの芯出しの精度をさげ、生産量を上げるためにバランサーが採用された
- バランサーは「不快な高周波のびびり振動」を消すためのシステム
- 美しいソフテイルフレームを、ラバーマウントで大きくしたくない
- バランサーは、フライホイールから生まれる鼓動感までも消すものではない
- クランクシャフトの芯出しを行えば、バランサーは必要ない
- バランサーで弱まった言われる鼓動感に、馬力、トルクも取り戻せる
ミルウォーキーエイトでもフライホイールの軽量化から、鼓動感が弱まったと言われていますが、【ミルウォーキーエイト】本物の鼓動感をフライホイールで強くする!で本物の鼓動感を出すことができます。
ハーレーは、求める味や性能に違うと感じたら、足らないものを加えることができます。
ハーレーは長く楽しめるバイクです。楽しみましょう。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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