機械工学

ハーレーが遅いのは馬力がないのが原因なのか!?

ハーレーのサスペンションを強化する
  • ハーレーのほとんどが1,000ccを超えるのに、なぜ馬力がないの?
  • 馬力がないぶんトルクはあるの?
  • トルクがあるとどんなメリットがあるの?

こういった疑問にお答えします。

ハーレーはエンジン温度をコントールしにくい空冷エンジンなので、厳しい排ガス規制をクリアするためにあえて大幅に性能を落とせざるない状況になっています。

したがって結論から言えば、ノーマルの状態で言えば力強さはありません。

しかし落とされた性能を解放すればロングストロークエンジン特有の豊かなトルクが溢れ出します。

ワインディングの登り坂を低い回転数で、ドコッドコッと悠々と力強く気持ちよく走行できるようになります。

しかし、これはトルクの話で馬力とは別なので、なぜ馬力がなく遅いのかを詳細に説明したいと思います。

ツインカムエンジンはハーレー史上最高のエンジンである

馬力が低くトルクが大きいのはロングストロークエンジンの特徴

ハーレーのボアストローク比

ロングストロークエンジンは、上図のボアよりストローク(ピストンの移動量)が長いエンジンを利用してトルクを出すエンジン型式に対して呼びます。

ピストンが一往復すると、1回転となります。

つまり、馬力が排気量のわりに低いのはストローク(ピストンの移動量)の長いエンジンのため、たくさん回すには向いていない構造のためです。

リッター4気筒エンジンは1,000ccを4つでわった1気筒250ccで、ピストンのストローク(ピストンの移動量)を1/4にできます。

ストロークを1/4(ピストンの移動量)にできるため、少ないピストンの移動量で1回転させることができます。

その分、低回転での力強さは弱くなりますが、4気筒ではたくさん回すことを求められているため、高回転で高出力(馬力)が可能になります。

ハーレーのピストンスピードは、スーパースポーツのCBR1000RRを比較すると、回転数は半分でもピストンスピードはCBR1000RRにせまるスピードです。

車名ピストン平均
スピード
ストローク(移動量)回転数
TC9620m/s111.13mm5,500
CBR1000RR24m/s55.1mm13,000

つまり、ハーレーをCBR1000RRを同じ回転数にして馬力を出すには、ハーレーのピストンスピードを倍にする必要がありますが、すでにピストンの限界スピードに近づいており、これ以上ピストンスピードを上げることはできません。

そのため、馬力を得るには、気筒数を増やしショートストロークエンジンにするしかありません。

昔は単気筒(1気筒)エンジンのみだったので、ボアxストロークを大きくすればパワーがでましたが、現在は単気筒エンジンを大きくするにはバイクのスペース的に困難で、ピストンスピードの限界から不可能になりました。

同じ排気量なら、2気筒エンジンは4気筒のようにたくさん回すことができませんが、ピストンを多くの時間をかけて下にさげることができるため、フライホイールを一度のストローク(ピストンの移動量)で力強く回すことが可能になります。

ハーレーツインカムのフライホイール

図. 一番大きな円盤状のものが、ツインカムのフライホイール

トルクと馬力の違いとは?
  • ドライバーでネジを締める力 = トルク
  • スパナでナットを締める力 = トルク
  • たまごをかき混ぜる力 = トルク

※トルクは[力]×[長さ]なので、ロングストロークの方がトルクを出せる。
力:混合気を燃焼させたエネルギー 。長さ:ピストンのストローク量

上記を1時間(時間)で何回回せるのが馬力となる

ハーレーはロングストロークエンジンなのでたくさんは回せない(馬力は出せない)が、力強くフライホイールを回せるのでトルクが強くなります。

たくさんエンジンを回せないので、馬力が発生しにくいので遅いということになります。

  • 2気筒ロングストロークのメリット:低速トルクを強くすることができるため、パッセンジャーと大きな荷物を乗せても、アクセルを大きく開けなくても力強く坂道を登ることが可能になります。
  • 4気筒ショートストロークエンジンのデメリット:荷物を乗せ坂道を登るには、回転数をあげないと登れないため、疲労もたまりやすくなる。

ショートストロークであれば馬力は出せるがハーレーらしさがなくなってしまう

ハーレーはロングストロークエンジン

ハーレーはロングストロークエンジンのため馬力を出すことは難しく、ツーリングで求められる特性は低回転で力強い低速トルクです。

もし、馬力を飛躍的に出す場合は、気筒数を増やしショートストローク化しかありません。

現在のロングストロークエンジンでも徹底的にローフリクション(抵抗)を減らせば馬力の向上は可能ですが、ショートストロークの馬力型のエンジンと比べれば基本設計が異なるため半分程度が限界だと思います。

ショートストローク化は、ハーレーらしい鼓動感といわれるスペックには表れないフィーリングが薄れるのは間違いありません。

ハーレー バランサー 外す

図. 一番大きな円盤状のものが、ミルウォーキーエイトのフライホイール

この円盤状の重いフライホイールが回るからこそ鼓動感と巨大なトルクがうまれ、感性に訴えかける魅力があります。

重いフライホイールは、低いアイドリングでも安定して力強く回転を続けられるため、低い回転数でも力強くドコッドコッとした鼓動感につながります。

重いフライホイールは、強い回転エネルギーを生みだすことができ、おなじ大きさなら重いほうが慣性モーメントが強く鼓動感も強くなります。

そのためフライホイールをウエイトリングをつけて重くして、鼓動感とトルクを強めるカスタムもあります。

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ハーレーの魅力はエンジンが大きなウエイトをしめているので、4気筒ショートストロークエンジンに変えて、フライホイールを小さく軽くしてビュンビュン回す馬力型のエンジンにすることは、ツーリングバイクとしてはミスマッチと言えるでしょう。

まとめ

ここまで、ハーレーが遅いのは馬力がないのが原因なのか!?について解説いたしました。

以下に、ポイントをまとめています。

  • 空冷エンジンは、厳しい排ガス規制をクリアするためにあえて大幅に性能を落とせざるない状況になっている。
  • 落とされた性能を解放すれば、ロングストロークエンジン特有の豊かなトルクが溢れ出す。
  • ハーレーに求められるエンジンは、パッセンジャーと重い荷物を乗せても悠々と走行できる低速トルクのあるエンジン特性
  • 馬力のあるショートストロークエンジンでは、ハーレーのトルク型のようにワインディングを悠々とは走れない
  • ショートストロークエンジンより、ロングストロークエンジンの方がストロークがあるためトルクを出しやすい
  • ハーレーに馬力を出させるなら、多気筒ショートストロークエンジンに替えるしか無い
  • ショートストローク化は、トルクと鼓動感の減少でツーリングバイクに求める特性がなくなる(V-RODが生産を終了した理由の一つが、鼓動感やフィーリングが合わなかったためと思われる)

これから発売されるモデルはすべて水冷エンジンです(電動バイクは除く)

ハーレー好きからは多少の批判は出るでしょうが、時代は変わっていきます。時代や環境に合わないものは淘汰されるでしょう。

H-D社は空冷エンジンと同じ味わいの油冷エンジン(ミルウォーキーエイト)を開発し、2020年には新しく水冷エンジンをリリースします。個人的には面白いバイクになると思ってます。

ハーレー好きなら、ただ傍観するだけではなく知識を得て行動すれば、面白いエンジンになると思います。

個人的には今の時代にうまれて幸せです。今までの常識が一気に覆す勢いがあるためです。

 

今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

ARIGATO BIKE

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