ミルウォーキーエイトエンジンはツインカムエンジンより、さらに高回転・高出力のハイパフォーマンスに進化した4バルブで登場しました。
そして、この高回転化の流れはエボリューションエンジンから始まりました。
今回はハーレーのエンジンの進化の象徴「エボリューションエンジン」について紹介します。
エボリューションエンジンは、高い耐久性と信頼性のもとにエンジンチューニングの基本を作り出し、さらに、ショベルのような味わいを深めることもできる、全ての面で余裕のあるエンジンです。
それまでのショベルヘッドでは、チューニングまでの余裕は構造的にも剛性面でも持ち合わせていませんでした。
エボリューションのチューニングやカスタム方法は、現在のミルウォーキーエイト、ツインカムにつながっています。
それでは進化の象徴「エボリューションエンジン」について詳細に説明したいと思います。
エボリューションの誕生でハーレーは近代的なメーカーになった
1984年にエボリューションエンジンは登場しました。
このエンジンの大きな進化のポイントは、コンピュータ設計からはじまる加工精度と、材質の向上があげられます。
オイル漏れといった低品質な問題も改善されていきました。
それまでのショベルヘッドは、放熱性の悪い鋳鉄のシリンダーに、高い強度を保てる貫通スタッドボルトも採用されていませんでした。
他のメーカーのエンジニアから見れば、完全に時代から取り残されたエンジンでした。
ショベルヘッドは、まともに走らせるだけでコストのかかるエンジンです。
エンジンチューニングするには、強度や熱による変形など、多くの課題をクリアする必要があります。
エボリューションが登場した時代には、高速道路の最高速度のアップに、排出ガス規制や騒音などの環境に対する問題も同時に求められました。
このような時代背景があり、さらに低い品質のエンジンに危機感があったことから、AMFから買い戻すことに成功し経営体制が見直されました。
その結果、ショベルヘッドとは比べ物にならない、高い品質の近代的なエンジンを生み出すことに成功しました。
ポテンシャルの高いエボリューションは、アメリカのチューニングメーカーや、カスタムショップで多くのレース用パーツが開発されました。
日本でも当たり前のようにエンジンチューニングがされ、飛躍的にパワーやテイストを引き上げられていきました。
カスタムやチューニングができるベース性能をあげたエンジン
全面的に材質の変更に、強度と剛性を向上させました。
このことで長年問題となっていた、熱による変形の問題もクリアさせ、キャブレターからのポートレイアウトも見直され吸気効率も上がりました。
燃焼室の形状を球型のヘミから、混合気を濃くできる扁平形状にし、バルブ挟み角を狭くし、フラットトップピストンを採用したことで、落としていた圧縮比を戻すことができ、高速道路の速度アップにも余力を残せるほど、高出力化が実現できました。
フライホイールはリリース直後の数年間は、ショベルと同じものを使用してましたが、軽量フライホイールに変更され、振動の少ないスムーズなエンジンに変わっていきました。
ヘビーウエイトフライホイールについては、詳細な記事がありますので、こちらの、フライホイールで史上最高の鼓動感と低速トルクを手に入れる!を読んでみてください。
エボリューションのチューニング・カスタム方法は現在まで引き継がれている
ミルウォーキーエイトやツインカムの、ハイカムや吸気量を増やすチューニングは、まったく珍しいことではなく、ごく日常的に行われています。
今では当たり前ようにチューニングする内容は、排気量アップなども含めエボリューションから始まりました。
- キャブレター・インジェクションチューニング(ビッグボア化)
- 燃焼室の高効率化
- 低フリクションピストン
- ハイカム
- ヘビーウエイトフライホイール
- ボアアップ・ストローカー
エボリューションの大型のクランクケースは高い剛性があり、フライホイールが生み出す巨大なトルクや、熱による変形にも余力持って耐えられます。
このことで、フライホイールのヘビーウエイト化の低速トルクに加え、高出力のチューニングを両立できるほど、カスタムの自由度が高くなりました。
三拍子もエボリューションでは、ライトカスタムで可能です。
しかし、三拍子は簡単に出せますが、やはりフライホイールのヘビーウエイト化するのがベターです。
フライホイールが重ければ、アイドリングを落としても、重いフライホイールであれば回り続けることができます。
ショベルより高回転になったぶん油圧を下げているので、クランクと比例するオイルポンプは、800回転以下まで落とすと潤滑不良を起こすので、それ以下にするなら、フランジャーやスプリングのチューニングは必要で、オイルフィルターを含めた対策はほどこしたほうが良いです。
さらに味わいを深くするならファイナル比のロング化に、クロスレシオ化した5速ではなく、ワイドの4速ミッションに変えるのも良いと思います。
チェーンドライブについては、詳細な記事がありますので、こちらの、【チェーンドライブ化】パワーと味わいを引き上げる! 車検・費用も解説を読んでみてください。
こういったエボリューションのカスタムや、チューニング方法は世界中で行われるようになり、遅い壊れるハーレーのイメージを一新しました。
そして、このチューニングやカスタムは多くのメーカーを生み出すことになり、その技術がハーレーダビッドソン社を刺激し、さらに魅力のあるエンジンが生まれることになりました。
技術はもちろんのこと、情熱やカルチャーまで、すべての面で現在のミルウォーキーエイトに引き継がれています。
メンテナンス・信頼性・技術革新
エボリューションは名前の通り進化を続け、ツインカムまで技術を継承させました。
初期はコルク系のガスケットを使用していたり、ショベルのフライホイールだったりしましたが、最終的にはインジェクションシステムまで構築できるまで、進化をやめませんでした。
メンテナンス性も高く、エンジンをおろさずにロッカーカバーからアクセスできる為に、プライベーターでも知識や工具があればメンテナンスできる為に、程度の良いエボリューションが残るようにもなりました。
長年の課題だったオイル下がりなども、完全に過去のものになりました。
まとめ
OHVの空冷V型2気筒エンジンの伝統を守りながらも、コンピュータ設計、アルミ素材の採用など、他のバイクメーカー同様の体制を作り上げ、ハーレーダビッドソン社は完全復活をとげ、その象徴が近代的なエンジンのエボリューションです。
さらに高回転化したツインカム・ミルウォーキーエイトは、エボリューションエンジンの延長上にあると言えます。
ミルウォーキーエイトの技術の進化とともに、エボリューションの魅力の引き出し方も、まだまだ増えていくと思います。
世界中にハーレーのカルチャーや、エンジンの魅力に取りつかれているファンが多いのは、間違いなくエボリューションの誕生があってこそだと思います。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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