V-RODのエンジンは、ハーレー史上もっとも正しく設計されたエンジンです。
しかし、従来のハーレー乗りから熱い支持が受けられずにV-RODは2016年末で生産終了してしまいました。
おそらく今までハーレーユーザーにフィーリングが受け入れなかったのでしょう。
ですが、高いレベルでハーレーらしさを持ち、とてつもない潜在能力をもったエンジンでした。そのためのちのちのハーレーのエンジンに大きく貢献しました。
そのV-RODのエンジンはハーレー初の大排気量水冷エンジン”レボリューション”です。
このレボリューションエンジンのV-RODに乗ると、今までのハーレーでは感じたことのない圧倒的なエネルギーを感じられると思います。
高回転から発生する馬力の加速というよりも、高トルクから生まれる後ろから押される豪快で力強い加速を感じられます。
しかもビッグツインとは異なる鼓動感やパルスをはっきりと感じ取れます。
私はV-ROD(VRSCR)とTC110、XL1200、CBR1000RRを同時に所有していた時期があるので、より客観的にV-RODのレボリューションエンジンを考察できていると思います。
そのため、間違いなく言えるのはV-RODはハーレーらしさを持ちながら、ハーレー史上最高のパワーを誇った歴史に残る名車中の名車とはっきり断言できます。
それでは、レボリューションエンジンはどんなエンジンだったのかを画像やイラストを添えて解説していきたいと思います。
ハーレー史上もっとも正しく設計された水冷エンジン
上図の通り、右のレボリューションエンジンはビッグツインやスポーツスターと異なり、混合気を横から空気を吸うのではなく、上から吸い込みます。
これが大きなポイントなっていきます。
2002年にレボリューションエンジンはポルシェの協力を得て水冷ワークスレーサーのVR1000をベースによって開発されました。
※ハーレーとポルシェは1970年後半から技術提携を結んでいる。
VR1000は、レースでは大きな活躍はできませんでしたが、水冷、4バルブ、DOHC、インジェクションなど、いずれくる排ガス規制やモアパワーのために開発が続けられました。
このVR1000の技術は、レボリューションエンジンにフィードバックされV-RODが誕生し、2007年にはすべてのハーレーがインジェクション化された際にもフィードバックされました。
おそらくこれから発売される水冷エンジンにも受け継がれるでしょう。
2016年にはツインクールド(空水冷)、2017年には4バルブ化されたミルウォーキーエイトが誕生しハーレーの技術革新に、V-RODの4バルブのレボリューションエンジンは大きく貢献しています。
ハーレー史上もっとも正しく設計された水冷エンジンというのは、ダウンドラフトというエンジン上部から空気を吸気し、吸気効率の高い吸気方法を採用していることからも言えます。
このダウンドラフトは高性能バイクでは必ず使われる方法です。
ダウンドラフトは、ショートストローク4バルブエンジンの理想の吸気方法でシリンダーヘッドにダイレクトで吸気でき、混合気をタンブル(縦渦)にすることができるため吸気効率を高めることができます。
V-RODは高回転まで回せるようにするためにショートストロークエンジンを採用し、吸気方法をダウンドラフトにしました。
※ショートストロークとはストロークよりボア径の方が長い構成をしている■1131cc:ボア100mm、ストローク72mm ■1246cc ボア105mm、ストローク72mm
話は少しそれますがミルウォーキーエイトもV-RODと同様の4バルブエンジンです。
横から吸気するサイドドラフトを採用していますが、サイドドラフトの4バルブは低回転でしかメリットはありません。
乱気流が発生し低回転時では混合気がよく混ざりますが、高回転時にスロットルボディが一つのため、乱れた混合気の奪い合いが2バルブ以上に発生します。
4バルブであればV-RODと同様のダウンドラフトで吸気するのがもっとも効率の高い方法ですが、おそらくタンクとフレームのデザイン上、上から吸気するダウンドラフトを採用できなかったのでしょう。
V-RODが証明しているように(他のメーカーの4バルブも同じ)、4バルブを採用するならダウンドラフトがもっとも最適な吸気方法なのは間違いありません。
さらにV-RODは、2気筒エンジン特有の振動をなくすためにVバンクを45度ではなく60度まで広げ、クランクシャフトと逆に回転するバランサーも装着し振動を打ち消し合っています。
DOHCなのでローカーアームがなくカムをダイレクトかつ正確に動作させることでOHV特有のバルブ周りのトラブルなどがなくなり、フライホイールの軽量化に相まって高回転まで精密に回すことが可能になりました。
4バルブなので小さいバルブを使用できるため燃焼室の形状も自由度があがりより効率を上げられるようになりました。
水冷エンジンは、空冷のように風に当たる所と当たらない所にムラが生じることがないため、極めて安定した出力を出せるようになります。
V-RODは吸排気とインジェクションチューニングでゆうに100馬力を超える
初期型の1131ccでもエアクリーナー、マフラー、インジェクションチューニングで115馬力、トルク11kg-mをゆうに超え9,000回転近く回ります。
私が乗っていたVRSCR(ストリートロッド)はV-ROD初の倒立フォークにブレンボキャリパー、ロングサスペンション、バックステップ、ハーレー社として相当走りにふったモデルでした。
私はハンドルをギルズツーリングのセパハンにしていたため、非常に走りやすくコントールしやすかったです。
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ただ、V-RODは重量があるためフロントサスペンションがバイクの重量に負けている印象があったため、リアブレーキをしっかり使ってから、フロントブレーキをかけなければ、プッシュアンダーになる傾向がありました。
しかし、特徴さえわかってしまえば国産同様にフロント7割のブレーキングができます。
シャシーは、通常の油圧では不可能な複雑なシャシーをしています。
製造方法はパイプ内に液をながし液圧によって、複雑な三次元形状で作られるハイドロフォーミング製法を使用しています。
そのため高剛性で美しく、高い速度域のS字コーナーでもまったくシャシーもスイングアームもよれることは一切無く、極めて安定した走行が可能になりました。
しかも、2気筒の大排気量エンジンです。
8,000回転以上からでも余裕で加速し、地面を蹴り飛ばしながら加速するのは極めて官能的で、トルクの加速感を感じ取れた初めてのバイクでした。
V型2気筒エンジンは空冷だろうが水冷だろうが、ぶっとい低速トルクから豪快な加速をする最高に官能的なエンジンです。
水冷エンジンのレボリューションエンジンは、下から上まで最高に気持ち良く楽しめるため、ゆったりツーリングから高速ツーリングまで、常に最高のフィーリングを楽しめます。
相性があえば最高のバイクになるのは間違いないと思います。
次世代の水冷エンジンにも、V-RODのレボリューションエンジンのような味わいのある圧倒的なパワーと、走行性能を持つことを期待してます。
魅力的なV-RODはなぜ販売終了となったのか?
冒頭でも記載したように今までのハーレーフリークにフィーリングが好まれなかったのが理由でしょう。
私がV-RODを手放した際に友人などから「やっぱり飽きた?」と言われましたが、まったくそんなことなく、エンジンをかけた瞬間から楽しめるバイクでした。
少なくともイメージだけで語られるほど浅いバイクではなく、今までのハーレーと同じでとても味わい深く力強いパフォーマンスをもっていました。
まとめ
ここまで、V-RODの魅力について解説いたしました。
以下に、ポイントをまとめています。
- ハーレーでもっともと正しく設計されたエンジン
- ダウンドラフトで吸気しているため、高回転でハイパワー
- V-RODのベースとなったVR1000は水冷、4バルブ、DOHC、インジェクションなど、いずれくる排ガス規制やモアパワーのために開発が続けられた
- ミルウォーキーエイトと同じ4バルブだが、吸気方法が異なる
- 吸排気、インジェクションチューニングで1134ccの初期モデルでも120馬力近く発揮する
- 力強い低速トルクから高回転まで官能的なエンジンで、フィーリングがあえば最高に持ち良いエンジン
- 今までのハーレーファンに好まれなかったため、生産終了したが、今後発売される水冷エンジンに技術が継承される
ぜひ、V-RODで圧倒的なパワーとシャシー性能を堪能してみてください。
またスポーツスターのエボリューションエンジンについては、【エボリューション】走りなら断然スポーツスターが速くて楽しいを読んでみてください。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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