本気のスポーツスターのカフェを、足回りからエンジンチューニングまでカスタム方法をお伝えします。
カスタムの順番は、安全面から足回りなどのベース性能を上げてからエンジンチューニングをします。
1200のスポーツスターはボアアップしなくても、腰上のエンジンチューニングのみで約100馬力に達し、883ならあのフィーリングを残したままで70馬力は狙えます。
そのために、しっかりした足まわりを先にカスタムし走行性能、安全性を向上させます。
1. ベースの性能をあげるカスタム
- サスペンション:フロント・リアサスペンション
- 軽量ホイール:F19・R18インチ
- トレール量:トリプルツリー
- ポジション:ハンドル・シート・ステップ
- 駆動方式:チェーンドライブ
上記のカスタムで、安全性と走行性能が飛躍的に向上するので、かなり楽しく気持ちの良いスポーツスターになります。
2.エンジンチューニング
- 吸気量の増加・ノッキング対策:ローコンプシリンダーヘッド・ハイカム・51mmビッグスロットルボディ
- 低フリクション:ローフリクションピストン
1200なら100馬力を狙えます。しかも耐久性、信頼性ともに純正を超える。
しっかりとした足回りがあると、安全にエンジンパワーを引き出せて余裕をもって最高に楽しく走れます。
レーサーカスタムでスポーツスターのベース性能をあげる
スポーツスターはエンジン性能をあげなくても、足まわりのグレードアップで相当面白くなります。
さらにモアパワーで楽しみたい場合にエンジンチューニングするのが、安全に長く楽しめるコツです。
スポーツスターはフロント・リアサスペンション交換だけで劇的に楽しくなる
ブレーキでしっかりサスペンションを動作させ、コーナリング最中は常に路面を追従し、ギャップを超えたり、スライドしても路面を離さないサスペンションが必要です。
また、こしのあるサスペンションでタイヤを潰すことが可能になり(ノーマルサスはタイヤを潰せない)、よりグリップが安定した状態でコーナリングができるようになります。
フロントサスペンションを社外のレーステック・ハイパープロ・トラックテックに変えるだけでスポーツ走行出来るようになります。
乗り心地も良く、ハーレー特有のプッシュアンダーもなくなります。
プッシュアンダーとは:コーナー手前でブレーキング時にフロントが沈み込んでしまい、後輪の押し出す力が強く外側に膨らんでしまう状態のことで、公道においてはかなり危険な状況におちいります。
フロントサスペンション
- レーステック
- ハイパープロ
- サンダンス トラックテック
リアサスペンション
- ナイトロン
- ハイパープロ
- オーリンズ
- サンダンス トラックテック
上記のメーカーは日本の交通、道路事情に合わせたサスペンションを用意しています。
特に完全なるゼロから設計されたリアサスペンションのトラックテックは素晴らしいです。
フロントサスペンションとの総合的な走行性能は非常に高く、20万円弱のオーリンズの別体タンク付きと同等以上の性能を誇る。
・オーリンズ
フルアジャスタブルサスペンションの、S36PR1C1LとS36PR1C1LBが、あらゆる目的を達成できる汎用サスペンションです。
ハイパープロ・ナイトロンも別体タンクモデルで、セッティング幅が広いサスペンションがベストです。
リアサスペンションの”ベルトドライブ”でのショック長は360mm程度が限度。(360mmでもマフラーステー、スイングアームなどに干渉するケースがあります)
バンク角を稼ぐためには、リアサスペンションのロング化が必要になります。
上記以上のショック長はチェーンドライブ化が必要です。
上記ショック長でも、ベルトドライブでは張りが強くなるため、サスペンションの動作が固くなります。
チェーンドライブにすれば、ベルトよりも食い込みや遊びが多いため、スイングアームの可動域が広くなります。
スイングアームのスムーズな動作で、サスペンションの性能を最大限に引き出せるようになります。
極端な例ですが、ベルトドライブで下記のように上げすぎると、一番張りがきつくなるスイングアーム水平時にはベルトがパンパンなり、サスペンションの動きがかなり固くなります。
またベアリングの破損にもつながります。
スポーツスターはトレール量が最低限しか確保されていない
スポーツスターはトレール量が最低限しか確保されていないため、ノーマルでもトレール量の最適化が必要です。
トレール量の減少は、まっすぐ走っているだけでハンドルが振られたり、ギャップのきっかけなどで起こります。
経験されたかたは多いと思います。
トレール量の減少は下記の変更などで減ります。
- リアホイールサイズのインチアップ
- フロントホイールのインチダウン
- フロントフォークの突き出し
- リアサスペンションの延長
トレール量をしっかり確保すると、220km/h出してもまったく振られません。
正確なトレール量を最適化できるトリプルツリーは、サンダンスの「トラックテック ステディ アライメント トリプルヨーク」のみです。
必ずディメンション(ホイールのインチ、リアサスの長さ)が決定してから、オフセット量を相談して決定してください。
走行性能を決めるホイールサイズ
カフェレーサーのホイールサイズは一般的に、フロント19・リア18が主流です。
<グライド>
- フロント:19・18インチ(カスタム注文で18インチは購入可能)
- リア:18インチ(リム幅3.5の為、ラジアルタイヤ不可)
<サンダンス トラックテック>
- フロント:19
- リア:18(リム幅4.0の為、ラジアルタイヤ可)
※ラジアルタイヤ履けるメリットは、スポーツ走行において大きなメリットです。
- サスペンション
- ホイール
- トリプルツリー
ディメンションの適正化で、乗りやすくて最高に楽しいスポーツスターが誕生する
ハンドル・シート・ステップでポジションを決める
バイクのベースが完成したら体型に合わせ、ハンドル・シート・ステップのカスタムをします。
カフェレーサーのハンドルはセパハンです(英語ではクリップオン clip on)
RSDのセパハンは国産流用できる
ローランドサンズのセパハンは差し込み口がミリなので国産流用も可能です。
シートで走りやすさが決まる
シートは体重移動がしやすい形にしたり、ステップとの距離が近ければ高くしたり、お尻が後ろにずれないガンファイタータイプに変更したりして、最良のシートをじっくり検討してみてください。
ノーマルシートではニーグリップが出来ないのでニーグリップサポート、またはシートに幅、厚みを持たせて一体感を持たせる方法もあります。
・ローランドサンズのカフェシリーズ
バックステップでバンク角を確保
バンク角確保と、体重移動のためにバックステップがベストです(英語ではリアセット Rearset Foot Controls)
04以降のバックステップは現在は下記メーカーから販売されています。
- 純正
- ローランドサンズ
- ミスミエンジニアリング
- ベビーフェイス
- ウッドストック
- トランプ(ベビーフェイスOEM)
チェーンドライブのショート化で鋭い加速
チェーンドライブのメリット
- スイングアームの可動範囲を広く取れるため、高性能サスペンションを活かせる
- フリクションが低いため、最低でも後軸で5%以上の馬力アップ
- ファイナル比をショートに変えれば、鋭い加速が可能
- 2重メッキのシールチェーンなら、ベルトドライブなみのメンテナンスが可能
レブで最高速になるように、ファイナル比をショート(ローギアード)に変えると、上までいっさいもたつかずに豪快な加速を味わえます。
レーサーのエンジンチューニングで100馬力
スポーツスターはエンジンとミッションが一体型で、耐久性・強度が高く、4カムで正確なバルブタイミングが可能です。
ビッグツインで1ciで1馬力出れば素晴らしいです。
ポテンシャルの高いスポーツスターなら、74ci(1200cc)で100馬力は出せます。
スポーツスター ダイノグラフ 100馬力
シリンダーヘッド・ハイカムは性能に直結する
ヘッドチューニングでパフォーマンスと耐久性が手には入ります。
スポーツスターのエンジンは883、1200ccとなっていますが、実際には排気量分の混合気は入ってきません。
ノーマルのエアクリーナーとハイフローエアクリーナーで、シリンダー内に入る空気の量が異なるように、ヘッドチューニングすると排気量分の混合気が入ってきます。
エンジン出力は空気の吸気量で決まる。
ヘッドチューニングは、低速でしっかり粘るハーレーらしさと、高回転まで気持ちよく回るスポーツスターの良さが発揮される。
フローチューンしてあるヘッドは有名メーカーだと下記があげられます。
- S&S
- JIMS
- Zipper’s
- サンダンス(ブランチヘッド)
信頼できるショップと相談して、シリンダーヘッドのベースはどこが良いかを検討する必要があります。
ヘッド、カムの選定はショップの経験とスキルが必要とされるので、ユーザー側もしっかり知識を得てからの判断が必要です。
- ボルトインカム:ノーマルエンジン用のカム
- モディファイド・カム:燃焼室・プッシュロッド・タペットなどを変更する必要があるカム
上記のダイノグラフ(94.7ps・11.6kgm)はブランチヘッドとN3カムで発揮したグラフです。
スポーツスターはビッグツイン以上に、オーバーラップの恩恵を得れるので、高回転でかなり面白いエンジンになります。
ビッグスロットルボディでレスポンスとパワーをあげる
HPIからスポーツスター用の口径が51、55mmのスロットルボディがリリースされています。
- ピークパワー重視:55mm
- レスポンス重視:51mm
エンジンパワーは吸気できる混合気の量で決まるので、ビッグボアスロットルボディで空気を多くスムーズに吸気することが重要となります。
上記のダイノグラフの94.7psは51mmで達しています。
エアクリーナーはRSDのタービンが吸気効率がもっとも高い
全方向から吸えるK&Nのフィルターに、空気の流れを邪魔をしないカバーをつけたエアクリーナーが170CFMをこえます。
178CFMのRSDのタービンが、市販品では吸気効率が高い。
下記は全面にカバーをしているためタービンより低いですが、おなじフィルターを使用しているので、170CFMはこえる高性能エアクリーナーです。
同じフィルターを使用しているのは多くあるので、プレートの好みで決めても良いと思います。
RSDと同等の値を期待できるのがアレンネスのインバータシリーズです。デザインも優れていて、さすがネスです。
おそらく2019年に一番売れたエアクリーナーかもしれません。
低フリクションピストンで全てのパワーをタイヤまで伝える
ピストンは6,000回転で1秒で100往復しますので、エンジンチューニングで重要なウエイトを占めています。
ピストンに求められるのは、主に下記があげられます。
- 高強度
- 低フリクション
- 放熱性
- 膨張率
- 軽量
- 表面処理方法
求められるものは多数あり、ピストンリング、ピストンピンにも同じものが求められます。
ピストンのフリクションが大きいと、全てのパワー損失につながります。
- シリンダーヘッド
- シリンダー
- バルブ
- プラグ
- コンロッド
- カム
- ピストン
- 吸排気
- インジェクション・キャブ
- ガソリン
- オイル
全てが繋がっています。ひとつひとつが独立しているわけではありません。
魅力ある4CAMエンジンは、魅力を引き出す確かな技術が必要です。
どれくらいかかるか?
相談できるカスタムショップに、理想の完成形を伝えて、全体の見積もりを作成してもらう。
一度に出来ない場合は、予算別・足まわり別・エンジンチューニング別などを提案してもらいカスタムをする。
相談しながらカスタムすると、ショップ側も見通しがみえるので作業もしやすく、コスト面でも柔軟な対応ができます。
費用の参考は、こちらの、知りたい!スポーツスターのフルカスタム費用と、スポーツスターでボアアップに頼らない馬力アップ方法を読んでみてください。
まとめ
スポーツスターは2004年からラバーマウントになった為に、重量増加やバンク角のあるマフラーが少ないなど、レーサー方面にふることが難しくなったと聞きます。
しかし、ラバーマウントになってから14年以上が経過し、リジッドマウントモデルよりもカスタムの幅は広がりました。しかも、ツーリングにも使えるスポーツスターは最高です。
エンジンは熟成されたエボリューションエンジンです。
スポーツスターはまぎれもないハーレーのレーサーで、走りなら断然スポーツスターが楽しい。
しかも、883はハーレー最大のロングストロークエンジンで、世界的にファンの多いエンジンです。
あのフィーリングは最高です。
まだまだ、スポーツスターの楽しさは引き出せると思っています。
今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
ARIGATO BIKE
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